空蟬をあふれてけふの波の音
水草生ふ被曝史のまだ一頁
骨片の砂となりゆく晩夏かな
ガジュマルの気根の揺るる沖縄忌
きじむなーと名づけしサバニ下り花
つばめ帰るこのふくしまに生を亭け
ハムカツに夕陽のにほひ風天忌
円描いてはじまる遊びこぼれ萩
新涼やトルコの壺に耳ふたつ
電車一両懸大根のうしろより
脱け殻の連れ立つてくる祭あと
野鯉走る青水無月の底を搏ち
湯気立てて泥のスクラム崩れけり
冬ざくら無名のラガー引退す
じよんからが発車の合図大雪野
(令和3年7月21日発行・現代俳句協会)
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