続・織り姫のなみだの謎

2011-07-27 21:00:00 | Weblog


昔々、天の川の東は天の世界で、織り姫たちが機(はた)を織っていた。

天の川の西側は人間の世界で、牛飼いの若者が暮らしていた。

ある日のこと牛が言葉を話し、天の川に織り姫たちが水浴びに来るから、中の一人の衣を隠して妻にするとよいだろう、と知恵をつける。

若者はその通りにして織り姫を妻とし、2人の子供にも恵まれ親子4人で幸せに日々を送っていた。

しかし、天の西王母(せいおうぼ)がこれを知り、大勢の使いをさしむけて織り姫を連れ戻してしまう。

牛飼いは途方に暮れたが、気を取り直し子供たちを連れて追いかけた。やっと天の川まで来た時、西王母により天の川はもっと空高く引き上げられてしまった。

どうしたらあの空に昇って行けるのだろう・・。すると牛がやって来て、私の皮を着れば天に昇れるよ、と教える。

牛飼いは言われた通りに牛の皮を着、2人の子供を籠に入れて背に担ぎ空を昇った。ようやく天の川まで辿り着くと、子供たちは嬉しくて母の名を呼んだ。

だが西王母は怒り狂い、浅かった天の川を狂瀾怒涛の大河に変えてしまった。父子は抱き合って泣いた。

このとき小さい女の子が泪を拭いて、「天の川の水がなくなるまで皆で汲み出そう」と提案した。そして父子は柄杓で川の水を汲み始めた。

父が疲れると男の子が、そして男の子が疲れると女の子が水を汲んだ。こうして父子は夜も昼も水を汲み続けた。

様子をじっと見ていた西王母は、しだいに感動を覚えはじめていた。それでカササギに橋をかけさせ、年に一度七月七日に織り姫と牛飼い父子が逢うことを許したという。七夕の夜に雨が降るのは、織り姫の流す泪だといわれている。

これは漢民族の伝承だが、シボ族やミャオ族には彼らは天上で難題を果たし、織り姫も共に地上に降りてくるという話になる。

待ち受けた人々は盛大な祭りで彼らを迎えた。そして今も娘たちが刺繍が巧みなのは、織り姫の子孫だからなのだ、というオチに(笑)

日本での七夕伝説は、恋人同士の牽牛と織女が年に一度天の川を渡って逢う日だ。これは中国の六世紀、梁(りょう)の宋稟(そうりん、リンはリッシンベン)が書いた「荊楚(けいそ)歳時記」を始め、その他の文献によって伝えられた七夕伝説である。

      ※物語の概略は国立民族学博物館名誉教授/君島久子さんのお話より 


漢民族、シボ族やミャオ族の伝承の方が、説得力があって面白いのは言うまでもない。ここで語られているのは、どんな災難や困難に襲われても、知恵や工夫を出し、それぞれが持てる力をふりしぼって対処する。そして決して諦めないこと、そんなことを教えられた気がする。

東北大震災のあとも決して負けまいとする日本国被災民、日本女子サッカー・なでしこジャパンの、粘り強く最後まで諦めない試合運びにもらった勇気、みんなありがとう~!と胸が熱くなる。


      写真は三日前の撮影↓たぶん・・直感を信じればコムラサキ(小紫) (^▽^)エヘ


      















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16 コメント

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for you (地理佐渡..)
2011-07-28 04:44:19
おはようございます。

肌寒さで目の覚めた今朝でした。

>東北大震災のあとも決して負けまいとする
 日本国被災民、日本女子サッカー・なでし
 こジャパンの、粘り強く最後まで諦めない
 試合運びにもらった勇気、みんなありがと
 う~!と胸が熱くなる。

まさにそうですね。困難に立ち向かう方々の
真摯な姿、これが感動を生みます。そしてそ
の根底には誰かのためと言うものも感じるか
らでありましょう。被災地支援には地域のた
め、なでしこには仲間のためというような。

僕はそれをfor you精神と呼んでいます。

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こんにちは! (mariko)
2011-07-28 12:05:06
>そして今も娘たちが刺繍が巧みなのは、織り姫の子孫だからなのだ、というオチに(笑)

これはすごく信憑性があります。
知人にミャオ族のお嫁さんを貰った人がいるのですが、ミャオ族の女性たちはとても視力が良くて細かい刺繍を巧みにします。
年老いてもメガネもかけず、、、
いつも空見ちゃんの文章は分かりやすくて、お見事です!
お写真もますます輝いていますね!(ぽち♪
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七夕伝説 (紗真紗)
2011-07-28 12:45:00
空見さま^^こんにちは~♪

織姫さまの泪の謎、
お約束通り、ありがとうございました。
説得力ある文章にのみ込まれて行きました。。。
これからなでしこジャパンまでのお話の展開、
いつもですがお見事です~!!
もう~忘れもしませんです。

もう~コムラサキが咲いているのですね~♪
気品ある香りまで届いてくるような~
咲き始めってどうしてこう美しいのでしょう。。。
いつもですがお写真がとても綺麗!ありがとうございます~♪
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Unknown (ななごう)
2011-07-28 15:37:16
七夕の詳しい話と云うのは殆ど知りませんでした。
いつも皆さんに教えて頂いています。
ありがとうございます。

コムラサキの花が綺麗です。

この処栃木県や関東北部で大雨の様ですが、空見さんの処は大丈夫ですか?
今夜も雷雨出そうです。
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織姫の涙 (かずこ)
2011-07-28 16:34:02
今日の長い織姫のお話引き込まれて読みました。
確かに七夕の日は晴れたことが無いような気がします。
空見さんの長い文章を読むのは久しぶりです。
待ってました。大好きです。
時々長い記事を読ませてくださいね。
楽しみにしています。
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物語の演変について (ディック)
2011-07-28 20:10:15
NHKのカルチャーラジオのテキストで「中国古典のスターたち
」という本を読んでいます。
中国の原典が日本ではどう変えられたか、あるいは同じ中国内で、歴史の変遷によりどう変わってきたかなど、とてもおもしろいテキストです。
たとえば、「白蛇伝」など…。
ラジオ第2放送7月~9月の放送のテキストです。
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Unknown (空見)
2011-07-28 20:27:41
地理佐渡..さんこんばんは、ありがとうございます。

「for you精神」良い言葉ですね。日本にも昔から「情けは人のためならず」というのがあります^^;
自分のためだけ、は意外に弱い。誰かのために、皆のために、となると人間は強くなれるようです。
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Unknown (空見)
2011-07-28 20:31:20
marikoちゃん、お忙しいのにコメントをありがとうございます。

そうでしょうね、細かい見事な刺繍を見たことがあります。やはり織り姫の子孫としか・・^^;

まだPC前の椅子に座るのが辛いので、用心しています(笑)
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Unknown (空見)
2011-07-28 20:36:56
紗真紗さんこんばんは、ありがとうございます。

コムラサキは目立たなく少し咲いていました。まだ蕾が多かったです。

はい、この前紗真紗さんにお約束していたので「織り姫の泪」をエントリーしました。もうじき仙台の七夕祭りですので~そろそろかと(^^ゞ
やはり七夕は旧暦で行きませんとしっくりしないですね。
TBの件はスルーしてくださって結構です、貴女がそれをしないのを忘れていました、以前にもあったのを思い出して、ごめんなさい。
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Unknown (空見)
2011-07-28 20:43:15
ななごうさん、ありがとうございます。

ネットで検索すれば大概のことは出てきますから、皆さんご存知のことだろうと思います^^;
便利と言えば便利な世の中ですね、便利が善だとは、しかと思えない時もありですが。

雨が断続的に強く降っています、それでも昼間は少しウォーキングに行ってスッキリし、先ほどは郵便局へハガキを出しに行き、スーパーの木曜日限定特売品を買ってきました(笑)

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