地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

防災対策・啓蒙の行政格差

2006-12-02 | 地震リスク
30年以内に70%の確率で発生が予想される首都直下地震。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県を中心に経済被害は112兆円の規模に及ぶ。

想定される建物被害は85万棟に及ぶ。風速15メートル、夕方18時の条件で発生した場合には最悪65万棟の建物が焼失する。揺れによる倒壊より、火災による焼失が全体の77%を占めるのが特徴だ。

環状6,7号線沿いに火災旋風が発生するとのことであるが、密集市街地を中心に火の海になるのは確実だ。恐怖を煽るつもりはないが、地域住民のことを思うと早く密集市街地の解消と防火、防災対策をすすめるべきだ。すすめるのは行政が中心となるだけでなく、地域住民がもっとも先頭にたつべきである。

首都直下地震の火災焼失予想図をみてふとある地域に注目した。
(画像は政府中央防災会議公表資料より)

焼失地域は東京都だけでなく近隣地域まで広がっている。今年9月に輝かしくオープンしたラゾーナ川崎のある川崎市。工業都市からチネチッタ、ミューザ川崎、ラゾーナ川崎とさまざまな注目施設を建設し、高層マンションが建ち並ぶ住む街へと変貌している。その川崎市のある一角は東京都と同様にメッシュが真っ赤に塗りつぶされている地域があった。

国道15号線の東南側の川崎区小田2,3丁目地区。この周辺はグーグル・アースの地図上でみるとくもの巣のような狭い道に木造住宅がひしめきたっている。いわゆる密集市街地で川崎市では平成5年より「密集住宅市街地整備促進事業」を導入し、道路・公園などの公共施設整備や燃えにくい建物への建替えを支援している。面積は約25.8ヘクタールと広範囲にわたるが、全国ワースト1位の大阪市、2位の横浜市ほどではない。しかし、なかなか解消されないようだ。

全国の自治体では、地震対策として同様の施策により減災を目指しているが、地域により防災格差が広がっている感じがする。各自治体のホームページ上でも、東京都、千葉県は地震被害想定を地盤、建物の危険度等を市区町村、丁目単位で公表している。一方、神奈川県、埼玉県では地震被害想定が国の想定結果より古く、地域の危険度も公表されていない。この2県は首都直下地震では震度6弱以上の揺れに見舞われる県である。地域住民への防災啓蒙活動もホームページを見る限り、「防災」という言葉があまり見つからない。

市町村単位でも同様だ。横浜市の場合、ホームページで地震に関する情報がすぐ見つけやすい。危機管理室をクリックすると危険度を表示した地震マップを見つけることができた。一方、さいたま市、川崎市、千葉市では地震マップが掲載されていない。

自治体にとって被害軽減は地震発生後の財政面での負担軽減にもつながるはずだ。地域住民も「自分の家は大丈夫」とか「どうせ火事になるし壊れるから」とか無責任さによって地域の被害を拡大し、自分に負担がかえってくることになる。

わが家の耐震化はもちろん、地域の危険な建物、道路等をなくす活動を行うべきである。防災訓練のみでは被害は軽減しない。