地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

想定宮城県沖地震

2006-12-11 | 地震リスク
地震調査研究推進本部が公表した将来30年以内に発生する確率の高い海溝型地震のトップは宮城県沖地震である。99%の確率で発生するとのことであるが、以前にも紹介した1978年宮城県沖地震から28年が経過した。発生周期が20年から40年程度と見られていることからいつきてもおかしくない。

(過去200年前からこれまでの宮城県沖地震の歴史)
1978年M7.4(前回から42年)
1936年M7.5(前回から39年)
1897年M7.4(前回から36年)
1861年M7.4(前回から26年)
1835年M7.3(前回から42年)
これ以外にも宮城県、岩手県の太平洋側での歴史地震、内陸部、断層帯での歴史地震があった。最近では2003年の5月、7月の地震、2005年8月の地震と被害をともなう地震が頻発した。

地方の防災に対する考え方の格差は、震災後の財政にも影響し兵庫県のように現在発行する地方債の国債との利回り格差にもあらわれている。宮城県の財政は財政力指数でみると0.47%と全国47都道府県中13位の実力である。しかし、公債費比率は18.4%と高く全国21位の地位であり、経常収支比率は93.8%と高く全国36位となっている。宮城県公表の『宮城県の財政事情(H18.10)』によると「企業業績の回復等に伴い,県税収入が回復傾向にあるものの,国の三位一体改革により,地方交付税等が大幅に削減された水準に止まり,行政改革推進債等の発行や基金取り崩し,県有資産の売却などで収支の均衡を図るなど,厳しい財政運営を強いられている。」と厳しい財政状態がうかがえる。

宮城県が想定した第三次地震被害想定調査結果(H16)によると宮城県沖地震(単独・連動)、長町-利府線断層帯の地震について公表している。宮城県沖地震以外にも地震があるのかと思われ方も多いと思うが、長町-利府線断層帯の地震は何万年単位で発生する地震で記録がなく、前回発生した時期が特定できないが、政令指定都市の仙台市中心地の真下に横たわり、宮城県沖地震の6倍の建物被害を予想する大災害だ。

宮城県沖地震が単独で発生した場合には、海沿いの石巻市から北上川沿いや大崎市の低地、仙台平野等の軟弱地盤が分布する地域で震度6弱から6強となり、これらの地域では被害が大きくなることが予想され、津波も地震発生から20分後には2mの津波を予想している。1978年宮城県沖地震の地震に比べると、住家建物の全半壊被害で3.5倍(約27,300棟)、死傷者で3倍強(約4,100人)となることが予想されている。

一番心配なのが我々の住む戸建住宅、マンション等であるが、宮城県の調べ(H16)では住宅は592千棟あり、うち木造住宅は549千棟、鉄筋コンクリート造住宅は9千棟、鉄骨造住宅は34千棟の構成となっている。また、事務所等の非住家を含めた木造建物は846千棟と住家・非住家合計993千棟の大半が木造である。いわゆる新耐震基準以前の建物(S56年以前の建物)は木造で65%、非木造で50%との調査結果となった。調査資料が平成10年の住宅・土地統計等であることから、現時点では住宅の更新、耐震化が図られているであろうが、それでもまだ住宅の倒壊により火災発生、人命を失うような危険性はまだ大きく残っているのではないだろうか。