米国の経済学者ハーバード大学ロバート・J・バロー教授が2005年12月に書いた記事を読み返してみた。
「甚大な経済的被害をもたらす大災害が発生する確率は非常に低いが、人々は平時においても大災害への懸念から相対的に安全な資産へ投資する。」
「米インフレ連動国債10年物の実質金利は、同時多発テロ以前は3~4%だったが、2004年-2005年には平均1.8%に低下した。実質長期金利が低下したのは国際的な驚異に対する懸念が強まったことによる」
「米国はハリケーン・カトリーナというまれにしか起こらない大災害に直面したが、これによる被害総額が2千億ドル~3千億ドルを上回る可能性は低い。これに対して国民ひとりあたりのGDPが15%以上減少すれば被害の規模がはるかに大きくなる。つまり、カトリーナよりもはるかに規模の大きな災害が起こらない限り、世界の株式市場や債券市場が深刻な反応を示すことはありえない。」
日本での巨大地震などの大災害時、この理論から言えばGDPが15%以上減少しなければ市場は深刻な反応を示さないともとれる。