アダムとイブはバナナを食べた
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ケイトー。。。 アダムとイブがバナナを食べた夢でもみたのォ~?
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いや。。。 夢を見たのじゃないのですよ。
じゃあ、何を見たのよ。 アダムとイブはリンゴを食べたと世界的に決まっているのよ。 バナナを食べたなんてネットで言えば世界のネット市民の皆様に笑われるのがオチだわよ。
あのねぇ~、実は、バンクーバー市立図書館で借りた本を読んだのですよう。
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上のリストの赤枠で囲んだ本を読んだのォ~?
そうです。
でも、その本にどのようなことが書いてあろうとも、アダムとイブがリンゴを食べたということは世界的な常識になっているのよ。 たぶん、バナナを食べたなんて誰も信じないと思うわ。
でもねぇ~、リンゴじゃなくてバナナを食べたと信じていた人たちも居たのですよ。
マジで。。。?
だから、その事が本に書かれているのですよ。
。。。で、だれが一体アダムとイブがバナナを食べたと言い出したわけ?
あのねぇ~、リンゴを食べたとは聖書には、もともと書かれてなかったのですよ。
でも、書いてあるじゃない。
あのねぇ~、聖書の中に紛らわしい言葉を初めて書いたのは、現在“聖ヒエロニムス”と呼ばれているおっさんなんですよ。
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この人は紀元340年にダルマティアで生まれた。 両親はキリスト教徒だったけれど、彼自身はキリスト教に興味がなかったのですよ。 ローマに留学したのも修辞学と哲学の勉強のためだった。
その人がどうして聖書にかかわるようになったの?
あのねぇ~、ギリシア語を習得し、ガリアやアナトリア半島をめぐって古典の研究に没頭していたのだけれど、373年頃、アンティオキアで重病にかかってしまった。 それで神頼みをする気になって神学の研究に生涯をささげることを決意したのですよ。 それからはシリアの砂漠で隠遁生活を送ってヘブライ語を学んだのです。 そして以前からあったさまざまな聖書のテキストをラテン語に統一しようというプロジェクトに没頭することになったのですよ。 上の本には次のように書いてある。
教皇に命じられ、ローマで行われたヒエロニムスのこの翻訳作業が契機となり、聖書はより多くの人に読まれるようになった。
それから600年のあいだに、ほかの言語でも聖書が翻訳されはじめる。
その後、1455年、ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷を考案してから、聖書は初めて大量に印刷されるようになった。
グーテンベルク聖書は、千年前に編まれたヒエロニムスのラテン語訳を忠実に写したものである。
英語と同じようにラテン語も、音は似ているが意味が異なる同音異義語の多い言語である。
エデンの「善悪」の果実というヘブライ語を訳すとき、ヒエロニムスは“malum”というラテン語を当てた。
聖書考古学者のシュネイア・レヴィンによれば、それはむしろ「悪意ある」という意味にちかいそうだ。
その一方で、“malum”は「リンゴ」と訳すこともでき、もともとはリンゴを意味するギリシャ語の“melon”から派生した言葉であるという。
グーテンベルク聖書を読んだルネサンス時代の画家たちは、その単語がリンゴを指すと解釈し、エデンの園の絵にリンゴを描き入れるようになったのだ。
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ルーカス・クラナッハ(父)の「アダムとエバ」、1526年。
ここに描かれるべき果実はバナナだったかもしれない。
23-25ページ 『バナナの世界史』
著者: ダン・コッペル 訳者: 黒川由美
2012年6月3日 第1版第2刷発行
発行所: 株式会社 太田出版
つまり、「善悪」の果実というヘブライ語を訳すとき、ヒエロニムスは“malum”というラテン語を当てたのね。 それをグーテンベルク聖書を読んだルネサンス時代の画家たちは、その単語がリンゴを指すと解釈し、エデンの園の絵にリンゴを描き入れるようになったのね。
そういうことなのですよ。
。。。で、いったい誰が初めてリンゴを描き入れたのォ~?
フーゴー・ファン・デル・グース (Hugo van der Goes)が次の絵を描いたのが最初だと言われているのですよ。
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フーゴー・ファン・デル・グース
(Hugo van der Goes)
(1440年頃 - 1482年)
初期フランドル派の画家。
1467年、彼はヘントの聖ルカ組合に加入した。
のち組合の長老となった。
長老の間、ブルゴーニュ公シャルル勇胆公とマーガレット・オブ・ヨークの結婚を祝う、ゲントの町の装飾を担当し、公爵夫妻から雇われることとなった。
彼の絵のモデルとなった、ブリュッセルにあるジェリコのバラ聖母修道会の尼僧エリザベートとの関係からおそらく精神病を病み(彼女がモデルを務めたフレスコ画『ダヴィデとアビガイル』は現在失われている)、1478年頃彼は自己の憂鬱に打ち勝つには修道院で生きるほかないと、他の修道院に隠遁した。
彼は修道院内で俗人扱いであったとみられる。
ファン・デル・グースは1480年頃自殺を図り、2年後に死んだ。
彼の最も有名な作品は『ポルティナーリの三連祭壇画』(1475年。ウフィッツィ美術館蔵)で、ブルッヘにおけるメディチ家の代理人、銀行家トマッソ・ポルティナーリが依頼した、フィレンツェのサンタ・マリア・ヌオヴァ教会の背障である。
出典: 「フーゴー・ファン・デル・グース」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
つまり、このフーゴー・ファン・デル・グースのおっさんがリンゴを描きいれたために、アダムとイブがバナナではなくリンゴを食べたということが絵を見る人とオツムに焼き付いてしまったのですよ。 それ以来、画家は誰もが『アダムとイブ』の絵にリンゴを描き入れるようになったのですよ。
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ADAM AND EVE by ヤン・ホッサールト
Jan (Mabuse) Gossaert (1478-1532)
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Adam and Eve by ルーカス・クラナッハ
Lucas Cranach the Elder (1472-1533),
the German Renaissance painter.
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ADAM AND EVE by ハンス・バルドゥング
Hans Baldung Grien (1484-1545)
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ADAM AND EVE by ティントレット
Tintoretto (1518-1594)
The Fall of Man, c. 1550
Canvas, 150×220 cm
Galleria dell’Accademia, Venice
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ADAM AND EVE by ヘンドリック・ホルツィウス
Hendrik Goltzius (1558-1617)
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ADAM AND EVE by ピーテル・パウル・ルーベンス
Peter Paul Rubens (1577-1640)
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ADAM AND EVE by ハンス・トマ
Hans Thoma (1839-1924)
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ADAM AND EVE by モーリス・ドニ
Maurice Denis (1870-1943)
1532年に亡くなった ヤン・ホッサールト (Jan Mabuse Gossaert) から 1943年に亡くなった モーリス・ドニ (Maurice Denis) まで 400年以上『アダムとイブ』の絵にリンゴを描き加えてきた。 今でもほとんど変わらない。
。。。で、誰がバナナだと言い出したのよ。
次の写真のおっさんですよ。
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あらっ。。。 これはスウェーデンの100クローナのお札じゃないのォ~?
あれっ。。。 シルヴィーにはよく判ったねぇ~。。。
だってぇ、私はスウェーデンに妹と旅行した時に、このお札を使ったことがあるもの。。。でも、このおっさんの名前は知らないのよ。 一体このおっさんは誰なのォ~?
シルヴィーも名前を聞けばすぐに分かると思うよ。 博物学者のカール・リンネ (Carl Linne: 1707-1778) ですよ。 “現代分類学の父”と呼ばれて世界的に有名ですよ。
高校の生物学の時間に、名前は聞いたことがあるわ。。。で、このおっさんがリンゴじゃなくてアダムとイブが食べたのはバナナだと言い出したわけ?
あのねぇ~、反論してバナナだとローマ法王に抗議したかどうか知らないけれど、リンネは敬虔なキリスト教徒だった。 自分の仕事は、神の創造物に関する完璧な目録を作ることだと決意していたのですよ。 しかも、リンネはエデンの存在も、そこにバナナがあったことも信じていた。 本には次のように書いてある。
甘く黄色いバナナには、善悪を知る知恵の木にちなんで「知識」を意味するラテン語から“Musa sapentium”という学名を与えた。
また、青いバナナ(料理用として利用されている“プランテーン”のこと)は“Musa paradisiaca”すなわち「楽園のバナナ」と名づけた。
リンネがつけた属名“Musa”は、バナナを示すアラビア語“mauz”から来ている。
アラビア語で書かれたイスラム教の聖典、コーランにも聖なる園にバナナが登場するので、この解釈が納得がいく。
コーランでは、エデンの禁断の木は“talh”と呼ばれ、これは通常、「楽園の木」と訳されるアラビア語である(あるいはもっと直接的に「バナナの木」と訳される場合もある)。
このイスラム教の聖典によると、その木は「長く生い茂った葉の陰で、果実は重なるように実をつけ……季節を選ばず、その実りが途絶えることはないだろう」と記されている。
確かにこの描写は、房になった同心円状のバナナが次々と実っていくさまと符合している。
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24-26ページ 『バナナの世界史』
著者: ダン・コッペル 訳者: 黒川由美
2012年6月3日 第1版第2刷発行
発行所: 株式会社 太田出版
なるほどォ~。。。 コーランには聖なる園にバナナが登場するのねぇ~。。。?
そうですよ。 イスラム教もキリスト教も、さかのぼって行くと旧約聖書にたどりつきますからね。。。 それに、もう一度『アダムとイブ』の絵を見て欲しいのですよ。
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アダムとイブはイチジクの葉で大切なところを隠しているのですよ。
そうだわね。。。 たいてい上のようにイチジクの葉で隠してあるわよね。 それが、どうだと言うのォ~?
どうして「イチジクの葉」なのか? シルヴィーは不思議に思ったことない?
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大切なところを隠すのに、ちょうど手ごろな大きさだったからじゃないのォ~?
でもねぇ~、よく見ると「イチジクの葉」ってぇ、隙間(すきま)が開(あ)いてるのですよう。 チラチラ見えてしまう。
それはケイトーが目を凝(こ)らして見ようとするからよう! うふふふふふ。。。
別に見ようとしなくても「イチジクの葉」に目をやれば隙間(すきま)から見えるのですよ。 リンゴの木からリンゴを食べて、急に恥ずかしくなって大切なところを隠すのであれば、リンゴの木の葉で隠すのが自然でしょう! それなのに「イチジクの葉」で隠している。 不自然だとシルヴィーは思わない?
言われてみればリンゴを食べたのだから、そばにあるリンゴの枝から葉をもぎ取って隠すのが手っ取り早いわけよねぇ~。。。 でも、リンゴの葉っぱじゃあ隠すのに小さすぎるわよう。
じゃあ、どうしてイチジクの木がリンゴの木のそばにあったわけ。。。?
偶然にリンゴの木のそばにイチジクの木があったわけよ。
あのねぇ~、実は、古代の世界ではバナナは“イチジク”と呼ばれていたのですよ。
マジで。。。?
上の本にそう書いてある。 その証拠にあの有名なアレクサンダー大王がインドで初めてバナナを見た時に「イチジク」と書いて先生のアリストテレスに書き送っている。
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それに、新世界に渡った探険家のスペイン人たちもをバナナを見て「イチジク」と記録した。
でも、古代に“イチジク”がバナナを意味したなんて信じられないわ。
あのねぇ~、決定的な証拠が古代ヘブライ語にある。 古代ヘブライ語ではバナナは“イチジク”と呼ばれていた。 そして禁断の果実ははっきりと次のように書かれている---「イブのイチジク」と。。。 つまり、イブはバナナを食べてアダムにもバナナを食べさせたのですよ。 そうであるならば、「イチジクの葉」とはバナナの葉なんだから、これは大切なところを隠すのには充分すぎるほど大きいのですよう。
初出: 2013年6月5日
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【ジューンの独り言】
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ですってぇ~。。。
どうですか?
信じることができますか?
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上の本にはそう書いてあるのですって。。。
ところで、話は変わりますけれど、『コーラスライン』(A Chorus Line)は1985年に公開されたミュージカル映画です。
あなたは観ましたか?
監督はリチャード・アッテンボロー。
アーノルド・シュルマンによる映画脚本は、ジェームズ・カークウッドとニコラス・ダンテによる1975年初演の同名のミュージカル作品の台本に基づいています。
A Chorus Line (1985)
Official Trailer
往年のスターダンサーだったキャシー(アリソン・リード)は仕事を求めブローウェイのオーデションを受けに行きます。
そこでの演出家は昔の恋人のザック(マイケル・ダグラス)だったのです。
ザックはかつてのキャシーを想うあまり「コーラスはキャシーにはふさわしくない」と言います。
キャシーは「このオーデションに来ているダンサーは皆素晴らしく、自分もその中でダンサーとして踊りたい」と訴えるのです。
キャシーとザックの揺れ動く感情と最終選考に残ったダンサーの様々な人生が交差しながらもオーデションは進んでゆくという物語です。
なかなか見ごたえのあるダンスが魅力的な映画です。
シルヴィーさんの事をもっと知りたかったら次の記事を読んでくださいね。
■『国際感覚ダントツ(2012年11月11日)』
■『国際化できてる?(2012年11月19日)』
■『国際化とアクセスアップ(2012年11月23日)』
■『国際化とツイッターと国際語(2012年11月27日)』
■『お百度参りも国際化(2012年12月1日)』
■『期待される人間像(2012年12月13日)』
■『角さんと原発と天罰(2013年1月5日)』
■『真紀子落選(2013年1月14日)』
■『野火(2013年1月18日)』
■『タイタニックと国際化(2013年2月1日)』
とにかく、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょう。
じゃあね。バーィ。
(hand.gif)
(surfin2.gif)
ィ~ハァ~♪~!
メチャ面白い、
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