牛たんとずんだ
仙台駅に降りたのは、ちょうどお昼。
ガイドブックを見ると、どうやら「牛たん」が名物らしい。
嫌な予感がビンビンするが、牛たん、食べよう!
早速、駅構内の「牛たん通り」というレストラン街に行ってみた。
人がたくさん並んでいる店が2軒あったので、店内を外から偵察してみる。
ひとつはアットホームな雰囲気で、ひとつはファミリーレストランみたいな派手な感じだ。
迷わずファミリーレストラン系を選び、15分ほど並んで「牛たん定食」を注文した。
予感どおり、ダメだった。
こんな肉厚の牛たん、絶対無理……。
わたしが知っている牛たんは、厚さ2ミリみたいなのだけれど、仙台のは5ミリくらいある。
歯ごたえもコリコリで、コリコリのもんが苦手なわたしには、もはや地獄である。
そもそも、牛たんは、好きじゃなかったのだ。
念のためにファミリーレストラン風の店を選んどいて良かったと胸をなでおろす。
残しても目立たないっていうか……。
時間に余裕がない人の「ふり」をしながら、逃げるように店を出る。
そんなら、並んでまで食うな! と思われていたことだろう。
美味しそうに食べていた人が羨ましい。
気を取り直し「ずんだ」である。
「ずんだ」とは、枝豆をつぶして砂糖を混ぜたもので、これをもちにからめた「ずんだ餅」も仙台の名物なのだという。
ずんだ餅、ずんだシェイク、ずんだ大福。
いろいろ食べたが全部美味しかった。
豆とか野菜とか米とかパンとか。
そういうのどかな食材にわたしは安心する。
分厚い牛たんとか、海鮮丼とかシャコとか、自己主張しているのはどうも……。
(赤字はデンマンが強調のため。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)
101 - 102ページ
『47都道府県女ひとりで行ってみよう』
著者: 益田ミリ
2008年6月25日第1刷発行
発行所: 幻冬舎
デンマンさんは「牛たん」と「ずんだ」が好物なのですか?
いや。。。特に好物というわけではないのですよ。
それなのに、どうして「牛たん」と「ずんだ」を取り上げたのですか?
あのねぇ~、実は、上の本をバンクーバー市立図書館で借りて読んだのですよ。。。僕も、せっかく日本で生まれて育てられたのだからと思い、学生時代、日本全国を旅する計画を立てて、夏休みを利用してバイクで無銭旅行したことがあるのですよ。
デンマンさんも47都道府県を一人で駆け巡ったのですか?
沖縄を除いて、ほとんど行きましたよ。 それで本棚にあった上の本のタイトルを背表紙で見て、懐かしくなって借りて読む気になった。 ところが上の箇所を見たら「牛たん」と「ずんだ」が仙台の名物と書いてあるじゃないですか! 僕は仙台で6年近く暮らしたのだけれど、僕にとって仙台の名物というのは「笹かまぼこ」と「仙台味噌」と「五右衛門ラーメン」だったのですよ。
振り返って思い出してみると「ずんだ」は食べたことがあるけれど、「牛たん」は一度も食べた記憶がない。
「牛たん」が嫌いだったのですか?
いや。。。嫌いじゃないけれど、僕は子供の頃から豚肉の臭いが嫌いで。。。、その影響で肉類はあまり食べたいとは思わなかった。 もちろん、好き嫌いは特にないから下宿では、出された物は何でも食べましたよ。 でも、下宿で「牛たん」を食べた記憶がない。 肉類は魚が主で豚肉や牛肉を食べた記憶がほとんどない。 牛肉や豚肉が好きな人には耐え難い食事だっただろうけれど、僕は魚が好きだから別に不満とは思わなかった。
その事が言いたかったのですか?
いや、ちがいますよ。。。益田ミリさんがコリコリのもんが苦手と書いた。。。つうことは、「かずのこ」が苦手ということになる。 僕にとって「かずのこ」は大好物で、苦手な人が居るということが考えられなかった。 その事がかなり意外だったのですよ。 しかも益田ミリさんは「海鮮丼」や「シャコ」も苦手だという。 僕は「海鮮丼」も「シャコ」も大好物ですよ。
あらっ。。。デンマンさんには好き嫌いがないのではありませんか?
もちろん、特に好き嫌いがあるわけじゃない。 出されたものは何でも食べますよ。 でもねぇ~、どれから食べるかと聞かれたら、「かずのこ」、「海鮮丼」、「シャコ」、。。。海の物から食べ始めますよ。 無くならないうちに。。。(微笑)
デンマンさんは海のものが好きなのですか?
そうですね。 「牛丼」、「親子どんぶり」、「肉ジャガ炒め」、「海鮮丼」が出されたら、迷うことなく「海鮮丼」をいただきますよ。
つまり、その事が言いたかったのですか?
いや、違いますよ。 実は、元旦にお袋に年賀状を書いたのですよ。 長くなるけれど、ちょっと読んでみてください。
2012年1月1日 (日曜日)
母上様、明けましておめでとうございます。
バンクーバーは午後3時半で気温が5度です。
どんよりとした曇り空です。
午後2時半に恒例の「ポーラーベア・スウィム」がありました。
「ポーラーベア・スウィム」というのは日本語では「寒中水泳」のことです。
「白熊のように元旦の寒い海でも泳ごう!」という1月1日の行事です。
小生がバンクーバーに住み始めた頃には、すでに行われていた行事だから、少なくとも20年以上も続いています。
カフェオレとクロワッサンで昼食を済ませてから数年ぶりにイングリッシュ・ベイ(海岸通り)を越えた砂浜に見に行きました。
歩いて10分ほどの距離です。
2時半に始まるのに午後2時には、すでに100人ぐらいの若者が水着になって海に飛び込んでいました。
水温は8度でしたから気温よりも暖かいのですよ。
小生も20代であれば水泳パンツをはいて駆け出すところですが、
さすがにその気力はありません。
見ているだけで体が震えだしました。 (微笑)
見物人が2000人近く浜辺に出て眺めていました。
12月は雪が降らずに雨ばかりで、日本から戻って、まだ初雪を見ていません。
クリスマスも小雨が降っていました。
地球温暖化の影響でバンクーバーも年々暖かくなっているようです。
カナダではバンクーバーだけが「寒中水泳」をやっているのかと思ったら、
ラジオのニュースで、小生がかつて住んでいたトロント市でも、またその他のカナダの都市でも元旦に「寒中水泳」をやっていると報じていました。
その後のニュースで「東京から南西に600キロのところで大きな地震があったけれど津波の心配はない」とアナウンサーが伝えていました。
元旦に近畿地方か四国あたりで地震があったのだろうと小生は思いましたが、アナウンサーは地名を言わなかったので、どの場所だかは正確に判りませんでした。
それでも、関東地方ではないと判ったのでホッとしましたよ。
それにしても、日本には自然災害が多すぎます。
それに付随して原子力発電所の事故なども起こるし、放射線の心配までしなければならない。
しかも更に悪いことには日本の政治家は自分のことばかり考えて、国民のための政治をしていない。
年金問題は年毎に悪くなっている。
日本の将来は暗すぎますよ。
20代で日本を脱出して海外に目を向けたことは、むしろ正解だったと自分で自分を褒めているしだいです。(微笑)
ところで、カナダでは元旦よりもクリスマスが大行事です。
クリスマスにはほとんどの店が休みますが、
元旦は日曜日にもかかわらず10軒のうち6店が店を開けていたのには驚かされました。
「寒中水泳」を見た帰りに、すぐそばのスーパーマーケットによって豆腐を2丁ばかり買ってきました。
中国人が作っている豆腐です。子供の頃に行田で食べた豆腐と味も形もそっくりですよ。
考えてみれば豆腐は中国から伝わった食べ物だから中国が本場ということになるでしょう!
それにしても、行田の下町の「角屋」の豆腐とすっかり同じ物をバンクーバーで食べていることが不思議です。
世界は狭いものだとつくづく思いますよ。
最近では、カナダ人が経営するスーパーマーケットへ行っても醤油や豆腐、即席ラーメンなどを売っているので便利になりました。
しかし、味噌や納豆は日本人の店か韓国人の店へ行かないとありません。
\
納豆はカナダ人の目には「腐った豆」としか見えないようです。
とても食べられるモノとは思えないそうです。
初めて納豆を食べたに日本人は、多分、餓死寸前だったのでしょうね。
食べられるものはすべて食べつくしてしまった。
たまたま「ネバネバした腐った豆」があったので、どうせ死ぬなら腐った豆でもいいから食べて、胃袋を満たして死のうと思ったのでしょう!?
でも、死なずに生き残ったので、それから「納豆」が普通の食べ物になったのでしょう!?
カナダ人は、納豆を食べる気になりません。
見た目が「腐った豆」だから仕方がないでしょう。
松茸(マツタケ)も、あれほど取れるのに食べません。
日本人ならば、マツタケの香りは上品で食欲をそそるいい匂いがしますが、
カナダ人の鼻には、マツタケの香りは1週間洗わない靴下の匂いだと言って、あんなものを食べるオマエの気が知れないと言います。 (爆笑)
世界は狭くなっても食べ物の好き嫌いは、その人がどこの国で生まれ育ったか?
その事によってずいぶんと左右されるようです。
これから2月に向かって、日本はまだまだ寒くなることでしょう。
風を引かないように気をつけてください。
母上様は、特に階段の上り下りに気をつけてくださいね。
「長生きするのも芸のうち」と申します。
「階段の上り下りも芸のうち」です。
東行田駅の近くの「かどや」のおばあさんは2011年の7月に103歳になりました。
「看板娘」で有名でしたから小生も知っていました。
焼きそばを食べていたら「わたし、いくつだと思いますゥ?」と声をかけてきたことがありました。
「85歳ぐらいでしょう」といったら、マジで喜んでいましたよ。 (爆笑)
元気な人でテレビにも出ました。
母上様もテレビに出られるように長生きしてください。
日本から戻ってきたばかりだと思っていたのに、
思えば、すでに2012年の1月1日です。
光陰矢のごとし!
今年も10月に帰省する予定です。
また、「とんでん」と「おおぎや」で美味い物を食べましょう。
あの世に逝くのは、いつでも逝けます。
この世で美味い物を家族と共に楽しく食べることを夢見ながら長生きした方が得です。
なぜ?
あの世から帰ってきて、あの世の方が良かったと言った人は、まだ居ないのですから。。。(爆笑)
では、また連休の頃にでも手紙を書きます。
お元気で。。。
バンクーバーのデンマンより
デンマンさん。。。これってぇ、マジでお母様に書いた手紙なのですか?
もちろんですよ。 僕の創作ではありません。
デンマンさんはお母様のことをお手紙では「母上様」と書いて、ご自分のことを「小生」と書くのですか?
うししししし。。。いけませんか?
なんだか、夏目漱石や森鴎外の手紙のようですわ。 (微笑)
そうなのですよ。。。夏目漱石や森鴎外の影響を受けていますよ。 (爆笑)
。。。で、この手紙と「牛たん」と「ずんだ」が関係あるのですか?
あのねぇ~、うちのお袋はイモ類と豆類が好物なのですよ。 僕が仙台に居る頃は働くことばかりで、僕は海外に出るまでにお袋と一緒に外食したことが一度もない。
あらっ。。。お母さんとレストランで食事をしたことが一度もなかったのですか?
一度もないのですよ。 しかも、お袋は当時、僕が居る仙台にやって来ることもなかった。
働くのが忙しくて。。。?
そうなのですよ。 兄弟3人居ましたからね。 教育費を蓄(たくわ)えなければならないという気持ちが強くて旅行する気分どころではなかったと、最近僕に語っていました。 確かに良く働いたのですよ。 保険外交員をやっていたのだけれど、一時は教頭先生をやっていたオヤジよりも給料が良くなって、東邦生命で社長賞をもらい本社まで出かけたことがある。
あらっ。。。それほど頑張ったのですか?
そうなのですよ。 社長賞に輝いたのは女性外交員3人だったのだけれど、そのうちで「私が一番みすぼらしかったわよ」とぼやいていたことを僕ははっきり思い出したのですよ。 自分の身なりなどあまり構わずに仕事を一生懸命やっていましたからね。。。だから、同情されて成績を上げたのだと僕は思うのですよ。
その当時デンマンさんは大学生だったのですか?
そうですよ。 僕が海外に飛び出してから、会社の慰安旅行で仙台を訪ねたことがあったのだれど、「あんたが仙台に居る間にどうして行く気にならなかったのかと。。。本当にあの時には後悔したわ」。。。お袋は、そう言ったのですよ。
判りますわ。 デンマンさんのお母さんの気持ちが。。。 お母様もデンマンさんと仙台で美味しい物を食べたかったでしょうね?
僕もそのことを思い出してね。 イモ類と豆類が好きなお袋が「ずんだ餅」を僕と仙台で一緒に食べたら本当に感激したと思うのですよ。
「ずんだ」とは、枝豆をつぶして砂糖を混ぜたもので、これをもちにからめた「ずんだ餅」も仙台の名物なのだという。
ずんだ餅、ずんだシェイク、ずんだ大福。
いろいろ食べたが全部美味しかった。
「コリコリしたものが苦手」な益田ミリさんも、このように書いていたほどでしたからね。。。
今年、行田に帰省したらお母様を仙台に連れて行ってあげればよいではありませんか?
いや。。。これまでにも何度か言ったのだけれど、もう旅行するのがしんどいと言うのですよ。 それで、近くのお店で美味い物を食べるようにしているのですよ。
だったら、仙台から「ずんだ餅」を取り寄せたらいいですわ。
今年の10月に帰ってら、そうしますよ。
(初出: 2012年1月7日)
【卑弥子の独り言】
ですってぇ~
母親というものは男の子にとって、いくつになってもいいものなのでござ~♪~ましょうね?
女の子にとっては父親の方が良いと言う人も居ますわ。
あたくしは、母親も父親も、どちらもいいですわ。
ご馳走になったときには特にそう思うのでござ~♪~ます。
うふふふふふふ。。。
とにかく、次回も、面白い話題が続きそうでござ~♪~ますう。
あなたも、どうか、また読みに戻ってきてくださいましね。
では。。。
ィ~ハァ~♪~!
メチャ面白い、
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こんにちは。ジューンです。
食べる事が嫌いな人って居ませんよね。
でも、同じ食べるのでも、国によって
その考え方はさまざまなようです。
アメリカ人やカナダ人も食べる事は好きですが、
食べ物は喜びと言うよりも
生命維持と関連付けて考える事が多いです。
フランス人は食の喜びを大切にします。
人生の楽しみは食べることだと
豪語するフランス人も居ます。
他のものは節約しても、
食べ物にはお金を惜しまない。
そう言うフランス人をよく見かけます。
日本ではお礼の気持ちを
「物」や「お金」で表すことが多いようですが、
フランスでは食事でもてなすことによって
お礼の気持ちを表すことが多いようです。
お寿司を見るとわたしは思うのですけれど、
日本人は「食」を単に空腹を満たすものではなく、
立派な芸術と見なしているのではないでしょうか?
ところで、英語の面白い話を集めました。
時間があったら覗いてみてください。
■ 『あなたのための愉快で面白い英語』
では、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょう。
じゃあね。
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