読む日々

テーマばらばらの読書日記

実りの庭

2012-03-08 | 
光野桃「実りの庭」


著者の40代半ばからの主に10年の間の事を振り返ったエッセイ。
その間に思い出した、子ども時代の事とか学生時代の事とか、それを通してこの10年を語る、みたいな雰囲気。

なんだか1編1編が私の心にグサグサと突き刺さり、涙が出ない話はなかった。
世代も10歳位違うから、子ども時代も学生時代もかぶらないのに、育った環境も結婚後の環境も、もちろん仕事もなにもかも全く自分とは被らないタイプの方の文章なのに、なんでこんなに泣けるのか。

で、最後まで読んで思ったことは、環境は違うけど、たぶん性格が私とよく似てるんだな、と。
親のタイプが意外と似ているのかも。
「きちんとしない」という章で確信した。

親にそうしつけられたせいで、何もかも「きちんとしないといけない」と言うのが、人生のベースに流れているところが似てるんだ!

そして、それはそうしないと気持ちが悪いにも関わらず、どこか息苦しくて、その息苦しさを家族や周囲の人達にも押しつけているんじゃなかろうか。

この「きちんとしない」で、著者は、ある年下の男性に「メールの即レスもだめですよ」と指摘されてる。
仕事の場合は確かに必要でしょうが、プライベートでは確かにそうかも、と書かれている。

・・・・。
わかります、わかります。
私は、まあ映画館にいるとか、会議に出ているとか、なにかのっぴきならない場所にいてメールを見れなかった、という場合を除いてはどんな時でも即レスですわ。

で、相手からすぐ返事が来ないとすごく不安。
別に不満なわけではないけど、不安。もしかしてヘンな事書いちゃって怒っているの?とか、迷惑だったかな、とか。

たいてい、そんな事はなくしばらくしてから返事がくるんだけど。
不満なわけじゃないから、返信が来てさえしまえば、「不安」だった心は落ち着きを取り戻しますが。

とても、身につまされる1冊でした。読み終わって、なんだか共感しすぎてフラフラになっちゃいました。
って事で、面白かったんだけど、満足度は60