読む日々

テーマばらばらの読書日記

ぽろぽろドール

2013-05-08 | 
豊島ミホ「ぽろぽろドール」


人形を愛する人達を描いた6編。

どれも、複雑な人間同士の感情を軸にして、人形への気持ちを深めて行くお話に感じました。

その感情自体とても自然な成り行きに感じられる辺り、さすがだなぁ、と。

表題作は、義理の叔母が遺した、叩くと涙が出る、少年を模した人形と、それを譲り受けて成長していく少女。

他は、山奥の分校から街の高校に神学した少女が、きれいな憧れのクラスメイトに似た人形を手にいれ、人形を着飾らせるうちに手芸の技術が上達し、憧れの子が主役をやる劇の衣装を手掛ける「手のひらの中のやわらかな星」

家の建て替えの間だけ祖母宅に住む少女が、隣のクラスの男子が隠し持つ、自分にそっくりの古い人形と出会う「めざめる五月」

製糸工場の坊っちゃんに恋していた少女が、彼を戦争で失い、マネキン製作者となり彼を再現する「サナギのままで」


運命に憧れた少女が、人形をうんめいとした男と出会うまでを描く「きみのいない夜には」

事故で端整な顔を失った少年が、中学時代付き合ってたきれいな少女そっくりの人形を見つける「僕が人形と眠るまで」

どれも、切なくて温かかったです。

満足度90

新聞連載・紫匂う 5/8

2013-05-08 | 
新潟日報連載小説。

そろそろ佳境に入りつつあるのかな。

霧の中、けもの道を目指していた蔵太一行。なんと蔵太が腐った木の橋から転落、流され、今日は助かったけど足をくじいて歩けなくなってる。澪と笙平だけ行け、という蔵太に、涙ぐみ、自分も残りたい、と告げる澪。

これは一つの結論というか完成、ですよね、物語の。
絶対この二人には無事に子供達の元へ戻ってほしい。

追手も烈しい。庄屋の桑野と、家老の仲間割れに期待。