読む日々

テーマばらばらの読書日記

無垢の領域

2015-08-08 | 
桜木紫乃「無垢の領域」


道東の高校の養護教諭の妻、書家の夫。赴任してきた民間の図書館長とおそらく少し傷がいのあるわかい妹。
4人が出会ったことでそれぞれの大人達に現れた変化。

うわぁ。
この本凄い。

養護教諭の伶子の立ち位置が我が身に似ていてぎくり。
いろいろ思いつまされる内容でした。

無垢な存在の純香に触れる事で夫が変わり、なんとなくそれを良いことに純香の兄と心を通わせてしまう。

その兄である信輝は、妹との距離感に戸惑いが多かったけど、伶子の夫が純香の才能を絶賛してくれたことでなんとなく妹の存在を受け入れられるように。

そんな矢先悲しい事件が。

書家は喪失感が半端なく、結局夫と生きていく事を決めた妻。
そして純香の才能から得た力で賞を…取ってしまう。

ラストはちょっと切ない。

書家の寝たきりの母親がねぇ。怖すぎ。
妻の稼ぎで母と自分が生活している夫の心境、これってこういうものなのかな。

この部分がうちと一緒なんだよね。妻の気持ちは私に近いかなと思うけど、作者女性だし、夫の気持ちはどうなんでしょう。

満足度100