読む日々

テーマばらばらの読書日記

羊の目

2010-06-19 | 
伊集院 静 「羊の目」

明治初期に夜鷹の女に産み落とされた男が、侠客の男に育てられ、その男に命をささげて生きた一生の物語。

最初は観音菩薩が印象的に描かれ、それがやがてキリスト教に移っていきます。
羊の目は、最後に主人公が流れ着いた島の神父が、自分の故郷フランスでの出来事を思い出し、その時見た羊の目と主人公の目が似ていることに気づいて終わるところからつけられた題名のよう。

途中、「さまよえる子羊」と描写されたりもするので、その意味もあるんでしょうけど。

視点が毎回の章で変わるのですが、それがとってもややこしい。

ストーリーは壮大だし、闇社会の仁義やら、主人公の純粋さはよくわかるんですが、これはピンと来ないお話でした。私には、合わないかな・・。

どんな風に描かれていても、闇の社会や裏社会の話は苦手です。人から借りて読んだんですが、そうでもなければ読まないので、貸していただけたのはよかったです。

満足度55

真昼の夢

2010-06-17 | 
絵本です。
「真昼の夢」セーラ・L・トムソン文/ロブ・ゴンサルヴェス絵/金原瑞人 訳


作者はアメリカ在住、画家はカナダの人。口絵裏には「カナダの画家ロブ・ゴンサルヴェスがえがく、眠りとめざめのあいだの時間。想像力にみちたイラストレーションが見るものを奇妙な世界へさそいこむ。」とあります。

奇妙です。とっても。これは絶対に絵が先で、文は後だと思う。この文であの絵は出てこないよなぁ。。でも有名な画家さんなら可能なのかな。

たとえば、「ある日、家の周りに堀をめぐらす」の挿絵が、家の周りに鏡のような四角い物を置いて、その鏡のようなものが敷いた先から堀に変わっている絵なんですが、普通、この文章だったら、家の周りにお城のお堀みたいなモノを想像しませんか??

すべてのページがそんな感じなので。絵はすごいリアルで綺麗です。

私にはイマイチわからない世界でしたが息子は感動したようで。

「この本、いいね!すごいおもしろいよね!!もっかい読もう。」ってこの不思議の世界に入りこんでました。

この絵本が子供向けなのか疑わしかったんだけど、息子の反応を見て、子供向けだったのかな、と納得しました

満足度(息子にとって)100

ロザムンドおばさんの花束

2010-06-15 | 
ロザムンド・ピルチャー「ロザムンドおばさんの花束」。

図書館で、「たまには、外国モノでも・・」とウロウロして、エッセイなのかと思って借りてみました。

そしたら短編集で。しかも・・・ものすごく、いい  とにかく いい 感動の一言です。

どの編も、読むと「じわ~っ」と胸が熱くなります。イギリスの作家さんなんですが、こんなに素敵なお話を書く人がいたなんて、全然しりませんでした。

表紙裏には「日々の暮らしの中で、小さな不安をもてあまし気味の主人公たち。ふとした出来事に驚いたりあわてたりしながら、彼らの生活にひとつひとつ、新しい彩りが添えられていきます」とありました。

まさに まさに そんな感じです主人公達は中年の入り口から出口にかけて位の女性達。生活の中の小さな不安っていうのが一つ一つリアルで、でも小説らしく見事に様々な小さい幸運に助けられ、そして本人達の心がけの良さから、悩みが素敵な展開で解決します

あ、若いママが主人公のお話もあったかも。でもキーマンは老人です。
あ、最初のお話は主人公は12才の少年だわ。でも、底辺を流れるのは母親が掴む幸せですが・・。

この作家さん、あたりです。これから 少しずつ探して読んでいきたいです。

満足度100

戦国の「いい妻」「ダメな妻」

2010-06-13 | 
中島道子著 戦国の「いい妻」「ダメな妻」

著者の考える、戦国時代のいい妻ダメな妻の人生。

良妻が 織田信長の側室・吉乃と明智光秀の正室・煕子。
賢妻が 前田利家の正室・まつ と 直江兼継の正室・お船。
烈婦が 浅井長政、柴田勝家の正室 お市の方と細川忠興の正室・玉子(ガラシャ)と稲葉正成の妻 ふく(春日局)

以上が いい妻。

悪妻が 豊臣秀吉の正室・おね と 山内一豊の正室・千代。
愚妻が 徳川家康の正室・瀬名(築山殿)。
平成型の夫を見限りサッサと実家に帰る妻が 織田信長の正室・帰蝶。


だ、そうです。

歴史好き、戦国の女性好きなので、それぞれの妻を主人公に据えた小説はいろいろ読んでます。読んだことない(あまり興味がない)妻は、山内一豊のところと、今まで目にした事のなかった明智光秀の妻だけ。

で、この著者の振り分けっぷりは、私の好みとは全く合わなかった・・・。

特に、築山殿に関しては、私が大好きな 諸田玲子の書いた「月を吐く」に斬新な解釈が描かれていて、でもその解釈だとすべての疑問が氷解してスッキリしたし、築山殿の事が大好きになったので、今回の書かれようにはかなりイラつきました。

あと、お市の方は永井路子の書いた「流星」がよかったし、細川ガラシャについても永井路子の「朱なる十字架」がすごくよかったです。

賢妻の まつ とお船は、確かにそうとしか取れないのでまあいいか、という感じ。どちらも大河ドラマのイメージが強いですし。

あと私は春日局が大っきらいなので、なんだかなあ、という感想でした。家光が家康と春日局の間の子かも、とか書かれてるし。

あ、明智光秀の妻の煕子は、今回初めて存在を知りましたが、好い人っぽくてよかったです。何か探して読んでみよう。

満足度は30


絵本

2010-06-10 | 絵本
エリック・カール/さく  森 ひさし/やく「パパ、お月さまとって!」

エリック・カールといえば「はらぺこあおむし」しか知りませんでしたが、ヒトも描くんですね(って驚くほどのコトではないですが)

女の子がお月さまと遊びたいとパパに頼み、パパは月まで行って、欠けるのを待って持ち帰る・・

パパの梯子とか、お月さまが小さくなる様子とか、絵本を二段開き(って言うのかな)にめくったりしながら、ちょっとした仕掛け絵本気分も味わえました。

お話は単純だけど、いい内容でしたよ。「この本スゲェ」by息子。

満足度70