doironが住んでいる泉O津市は繊維の町である。
子どもの頃から近所の家では、
小さなはた織り機を置いて、仕事をしていた。
工場で使う糸巻きの管や毛布の端切れなんかは、
子どもたちの絶好の遊び道具であった。
木管はカンカンたたいて楽器代わり、
紙管は吹き矢に使われ、
毛布の切れ端は神社の茂みや
空き地の雑木の間に作った
秘密の隠れ家に敷き詰められたりした。
最近の子どもはそういう遊びをまったくしなくなった。
それがいいかどうかは評価が分かれるところだが、
少なくともdoironは
そうして外で遊ぶことで、
イシミカワの弦にトゲトゲがあることや、
どくだみの汁が湿疹やかぶれに効くことも知った。
触ってはいけない虫やきのこもあることを知ったし、
隠れ家の作り方、
工作の基本も学んだ。
いわゆるそれが生活の知恵というやつである。
もともと人間は様々な菌にさらされて生きてきた。
そうすることで抵抗力をつけ、
それらの菌をやっつける力を身につけてきたわけだ。
それが、人工的な力で菌を抑え、
やっつける薬を開発してきたものだから
MRSAのようにそんな薬に耐える菌が生まれ、
それをやっつける力を持てなくなったのだ。
人間誰しも無菌状態で暮らしていくわけには行かない
ということは自明の理である。
菌にさらしてこそ強くなるわけで、
そういう意味で外で遊ぶことは、
知らず知らずに自然に育ててもらっている、
生活の知恵を無意識に授かっている、
ということを、
もう一度見直さなければならないのでは、
と昔の遊び仲間と居酒屋”詰所”での
会話を通じて
最近しみじみ思っているdoironなのだ。