ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

旅立ちのとき

2012年10月21日 21時22分29秒 | 自然

それは多分アオスジアゲハのさなぎだと思っていた。
ただ、蛹化した場所が場所だけに、
確信を持てずにいたのだ。
というのもそれはスロープに取り付けられた、
ステンレスの手すりにくっついていた。

春先にもそこで同様のさなぎを見つけたのだけど、
どうも鳥にでも襲われたのか、
蛹化してまもなく姿がなくなった。
そのときも、多分アオスジアゲハだと思っていたのだが、
正体がわからずじまいだった。
ところが、夏の終わり頃に
またよく似た場所にさなぎがくっついた。

今度は手摺りの内側で、
外を飛び回る鳥には見えにくい場所だったので、
毎日その姿を建物の中から見守っていた。

ただ、かすかな疑問があった。

アオスジアゲハの食草は

「クスノキ」

樟脳の原料にもなる樹なので、
癖があるけどそれを食草にするのは、
多分あまり生き物の寄り付かない樹なので、
身を守るには好都合ではあるのだろう。

通常、そのクスノキの葉っぱの上に、
擬態のようによく似たさなぎをつける。

当然卵もそこに産み付けられ、
幼虫もクスノキの葉っぱを食べて育つ。

近所の神社には、クスノキが多く、
子どもの頃に青虫を見つけてきて飼い、
さなぎから羽化までを見守ったことのある蝶々だ。

青虫は見つけやすい。
クスノキといっても大樹ではなく
街路樹程度の大きさを好むようで、
そんな樹の根元に
大量の黒い糞が産卵しているので、
そこから見上げればいいわけだ。

昔、よくトレーニングで走った臨海の緑道でも、
その姿をよく見かけたが、
さすがにランニングの格好で、
素手に青虫を持って走れるほど、
幼虫好きではなかった。

そんな経験があるからわかるのだが、
しかし不思議なことに
今回さなぎがいた場所から、
いくら見回しても、クスノキの樹がないのだ。

もしかしたらクスノキ科の別の樹木で育ったのかもしれないが、
ちょっとそんな樹木は見分けがつかない。

そんな状況なので、
もしかしたら、羽化したら不気味な
おどろおどろしい蛾でも出てくるのでは
という一抹の不安もあった。

季節は進んで10月に入り、
しばらく冬の到来を思わせるような
寒い日が数日続いた後、
一転、少し汗ばむくらいの
ぽかぽか陽気となった今日、
ついにそのさなぎが羽化した。

これ。



間違いなく「アオスジアゲハ」であった。

生態を調べると、
出現期は5~10月で、
年に3~4回出現するとある。

今日は10月21日。

北の方から雪の便りもちらほら聞こえ始めるこの時期に
羽化したアオスジアゲハの、
余命はいかほどなのか。

そんな心配をしながら、
羽ばたいて飛び去る姿を
自分に重ねながら
頑張るんだぞと
見送ったdoironなのであった。