「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」上・下 (講談社文庫) 白石 一文 (著) 2013.9.17読了。
数々のスクープを物してきた敏腕編集長、カワバタ。大物政治家Nのスキャンダルを追う彼の前に現れた奇妙なグラビアの女。彼女を抱いた日から、人生は本来の軌道を外れて転がり出す。不敵なまでの強引さと唐突さで物語に差し挟まれる数々の引用。小説が真理に近づく限界を極めた、第22回山本周五郎賞受賞作。
カワバタは胃ガンであった。手術の直後から、数年前に死んだ息子が自分をどこかに導こうとする囁きが聞こえ出す。格差社会、DV、売春――思索はどこまでも広がり、深まり、それが死の準備などではなく、新たな生の発見へとつながってゆく。発表されるや各メディアから嵐のような絶賛を浴びた、衝撃の書。
ストーリは面白いが、あまりに引用が多すぎて辟易する。
主人公が現在、胃がんで、過去に生後三ヶ月の息子を亡くしていて…。
でも大手出版社の編集長で、年収が1500万だったか、2000万だったか…。愛人もいて…。職権つかってグラビアアイドルともヤレたりして…。
そんで格差問題などを潜考していたりして…。
この人の小説好きなんで期待して読んだけど、なんか素直に感情移入できなかったな。多大な引用と高給取りの大手編集者っていう主人公の設定が個人的にダメだった。…6点(それでも6点なんだからやっぱ白石さんおもしろいのか?)。