ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「リプレイ」 ケン・グリムウッド読了!

2017年03月22日 22時12分34秒 | 作家 か行
「リプレイ」 (新潮文庫) 2017.3.22読了。
ケン・グリムウッド (著), 杉山 高之 (翻訳)

ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしているジェフは、43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡。気がつくと、また――。人生をもう一度やり直せたら、という窮極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。



人生を何度もやり直せるのはすばらしいことではないか。読む前はそう思っていた。
でも、何度も人生を構築し、そしてある年齢になると規則正しく死亡し、また人生途中に生き返り、やり直し。
幸福な人生、お金を持ち、伴侶にも恵まれ、子どもをもうけ、満ち足りた生活、でも、その人生も半ばでまたリプレイ。
しかもその記憶を持ったまま、また途中からやり直し、その無力感、喪失感。
こうなるともう拷問。死ねないことが恨めしくなる。
その繰り返しで、いったいどんな結末をもってくるんだろうと思って読んでいたが、結末に至るストーリー展開の巧みさにはうならされた。
翻訳がもっと華麗な筆致だったらもっと良かったのに。…8点。