エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

三度挑戦も敗退・・ピリカヌプリ(1631m)

2017年04月17日 | 山紀行 (日高山系)
仲間と共に三度挑戦も強風に勝てず撤退・・・
トヨニ岳南峰(1493m)~トヨニ岳北峰(1529m)
~1513m峰(1512m)ピリカヌプリ(1631m)
■ 山 行 日    2017年4月16日(日)~18日(火)   山中2泊予定
■ ル ー ト    野塚トンネル十勝側北口~トヨニ岳南峰南尾根ルート往復
■ メ ン バ ー    夫婦登山 №11  他3名 (名前は文中に表示)
■ 登 山 形 態    ツボ足 アイゼン登行
■ 地 形 図    1/25000地形図  「トヨニ岳」 「ピリカヌプリ」
■ 三角点・点名   ピリカヌプリ  二等三角点  点名「奴振 ヌプリ」
             他、標高点のみ

■ コースタイム   登り 3時間10分   下り 1時間45分
          ※ 途中撤退したのでコースタイムは参考になりません・・・
<登り>
07:10 登山口(野塚トンネル北口)出発
08:05  C 760二股 休憩
08:45  C 900二股 休憩
09:50  C1120稜線 休憩
10:20  登行中止 撤退

<下り>
10:20  下山開始
10:30  C1120分岐下で休憩
11:00  C 900二股 休憩
11:45  登山口



携帯GPSアプリにて


GPSのログを元に地形図に転写したものです・・

★ 同胞を得て心強し・・・
昨年に続き3度目の挑戦となる「ピリカヌプリ」計画。
無謀にも日帰りで敢行しその難しさを思い知らされた苦い経験をした。やはりこの山は山中1泊以上で
計画しないと私たちの実力じゃ無理。「何としても今年は・・」の思いで山中2泊での計画を立てた。

2016年のピリカヌプリ挑戦はここをクリック

岳人でなくとも憧れる日高の名峰はチャンスがあれば私も・・・という人は多い。
たまたま私たち夫婦の計画を仲間に話した時、即その計画に同行したいと嘆願された。
平日にも関わらず即答で同行出来るメンバーは仲間に多いが、厳しい山行だけに両手を挙げて喜ぶ
訳にもいかず、返答の時間を頂いた経緯がある。
結論としては、別パーティーとして同じ計画を立てて頂き、結果同一行動を取るという変則チームにさせて頂いた。
いずれにせよ私たちに取っては同胞を得た形となり心強いことこの上ない話だった。

その同胞となっていただいたメンバーはHYMLの仲間でまっちゃん、yoshioさん、シュンさんの三名だった。
全員ピリカヌプリは未踏のメンバーでまっちゃんは以前トヨニ岳北峰にテント泊するも翌日強風悪天で撤退した
経験もあり今回はそのリベンジ山行にもなっていた。

計画通り登山口である野塚トンネル北口の駐車帯に集合し挨拶を交わす。
妻チーヤンと三名は初対面ながら、「いつもブログで写真を見ているよ!」と、すっかり顔馴染みの挨拶。
早々準備を終えて予定より早い出発となった。



怪しい天候ながら出発準備を終えた面々・・・野塚トンネル北口Pにて

★ 怪しい天候もまずは決行・・・
7:10 出発
駐車場からすぐ西側の沢は辛うじてSBが残っていて用意した長靴は使わず渡渉が出来た。
予定より早く出発出来たのは幸いだったが、上空の低いガスと風を気に掛けながら沢ルートを選択する。
一般的な東尾根ルートは、残雪が少なく取付き点から笹が剥き出しで登る事が出来なかった。
計画を昨年より約1週間早めたのは残雪がより多い事を見越しての事。最初の沢渡渉で昨年は苦労したので
その点の読みは当たっていた。

まだこの時点では風も弱く上空のガスだけ気になりながら沢を詰めていく感じだった。
雪は十分に沢を埋め尽くしていたが暖気で腐り場所によっては膝下まで埋まって苦労させられた。
パーティーが5名だった事が幸いし、先頭を交代しながら登れたのは強みだった。全員ツボ足で登る。

沢詰めの最初の目標であるC760二股には
8:05に着き休憩
2~3日前に降った新雪が雪崩れたと思われるデブリが両沢に見られ驚いた。
ルートは右股でかなり上まで雪崩れた残骸がいやらしかった。




先頭を交代しながらゆっくりと登る・・・


最初のC760二股では両方から雪崩れたデブリに驚く


右股のこの沢を詰めていく・・


雪崩は、2~3日前に降った新雪が表層で雪崩れたものと判断・・・


C760二股にて休憩タイム・・・ (yoshioさん撮影)


★ 野塚岳とトヨニ岳の中間尾根・・・
9:50 C1120稜線着
残雪の状況にもよるが、チーム力は凄いなぁと実感した。
昨年日帰り装備なのに稜線まで2時間30分掛かっていたが、今回重装備ながら2時間40分で登ってしまった。

稜線手前の沢は壁のように見える急傾斜と雪崩の跡が気になりC1020付近から東尾根に進路を変えた。
膝下まで埋まりながらゆっくりと一歩一歩進み何とか尾根上に上がるとちょっとホッとする。
しかし、心配していた風が徐々に強くなり脱いでいたアウターを着直した。

稜線に出た瞬間、想像を超えた強風に襲われる。
視界は10m前後で足元しか見えない。躊躇するも前進を決め稜線を辿った。
しかし、途中何度も耐風姿勢を取らないと飛ばされそうと立ち止まる場面が多く風速は20m/Sは
超えていただろうと推測する。
20分ほど進んだ稜線上で立ち止まり、まっちゃんと顔を合わせる。

この強風の中、これ以上進んでもトヨニ岳南峰に辿り着けるか不安であり危険も伴う事。
視界も悪いし標高も上がって行くので更に困難な状況が予想出来るのでここで登行を中止しようと決めた。
全員中止には賛同し
10:20下山と決めた。


C1120の尾根上に辿り着いた場面 (yoshioさん撮影)


強風の中でも楽しかった仲間との山行 (yoshioさん撮影)


撤退を決めて引き返す途中、稜線上で・・同胞の三名


夫婦登山ではなかなか撮れない行動中のツーショット写真  (yoshioさん撮影)


強風の中、稜線を引き返すメンバー・・・

★ 三度失敗も成果を得て次へ・・・
10:40 稜線から下山開始
稜線を歩いた距離は約250mだった。
風にひざまずき、ストックで堪え、膝まで埋もれながらの登行にははやり危険は付き物だ。
中止したことに納得しながらも心中悔しさは拭い切れないのは全員の正直な気持ちだと思う。

昨年は、日帰り計画を無謀と自覚し、今年は重装備でも稜線まで登れた事を成果としようと思った。
まっちゃんを始めHYMLの仲間たちは「この山行へ誘ってくれただけで嬉しかった」と言って頂いた。
もし私たち夫婦だけの山行ならきっと登山口で中止したかも知れない。だから仲間が増えたことで
勇気を頂き、楽しく登れたのはやはり同胞を得た私たちから感謝の意を表したい。

本当にありがとう!!

三度目の挑戦も結果として失敗はしたが、成果を得て次なるステップと計画に役立てようと思った。

また、今回の山行ではほんの2~3日前に挑戦し敗退したHYMLの仲間コージさんより色々情報を得て
臨めた事も心強く安心出来た大きな要因でした。重ねてお礼と感謝を表したいと思います。



稜線からの下りも視界の悪いガスの中、逆に恐怖心が無く良かったかも・・ (yoshioさん撮影)


重装備もやはり下りは楽で速い・・・(yoshioさん撮影)


ガスが切れ始めたC760二股付近で・・・


結果は敗退も成果もあった下りは楽しいものだ・・・






ようやく天馬街道が見えてきた・・・


最後のSBを渡渉し山行を終える・・・




渡渉を終えて駐車帯へ (yoshioさん撮影)


下山後、野塚トンネルを背に全員で・・・お疲れさまでした。

11:45 登山口下山

★ 反省会は22日に・・・
2泊3日の計画も呆気なく日帰り山行に終わったピリカヌプリ・・・
ザックの中には用意した食糧やアルコールが手付かずにある訳で、下りてしまえば
呑んべいの本音がつい出る私だ。
日程的にはあと2日間の余裕があり折角の機会だから「どこかで飲みたいね」と近くでの反省会を提案する。

しかし、早い時間の下山でもあり「温泉だけ入って帰ろう・・」という意見でまとまる。
妻チーヤンもそれには大賛成・・・あぁ~残念。

でも今週末22日に開催されるHYMLのルック岳(懇親会)でゆっくり飲もうと励まされ納得・・・

帰路の途中、2013年10月にリニューアルオープンした静内温泉で汗を流し、解散した。

同胞の皆さん 本当にお世話になりました。そしてお疲れ様でした。