ことばの教室

自分の田舎の小学校では､
生徒減である程度余った(と思われる)教室が数ヵ所
他の用途に使われていた｡
たとえば養護学習の教室だったり､
あるいは言葉の発達の具合をみる教室だったり｡
それらはみな､作りは良くできてはいたが
当時の５年生が1・2組が2Fで､3・4組が3Fとかいう
その学年だけありえない配置になってたこと
また､全学年の教室が似たような広さだったのを考えれば
あれは余ってしまった教室の再利用だったかと
今はそう考えている｡

自分はその前述の特殊用途の教室の内
後者｢ことばの教室｣の方に通ったことがある｡
理由は定かではない､が入学前にｶﾞｯｺに行ったのは
ぼんやりとした記憶として残っている｡
場所は中・高学年の教室がある北校舎3F､
一番西側の端っぽで
戸を開けるといきなり厚いカーテンが架かってた｡
そこでの試験ていうか質問はどんなだったか忘れたが
聴力検査みたいなのを受けたような覚えはある｡
先生は眼鏡をかけた若い男性で
自分が質問に答えられないと小突いたりするよな
多少おっかない印象があった｡
後にこの先生は､自分が住んでるとこの
子供会の面倒とかもみてることがわかったが
それは今は置いといて｡

しかし､何でこんなトコに行かなきゃいけなかったのか
その時の自分には見当もつかなかった訳で
だいたい､保育園ではそれでも普通にみなと遊んでたし
それなりにコミュニケーションはとれてた筈だった｡
多分､自分のどっかがまだ未発達ではないかと
それを心配した母が保育園と相談して
そこに何回か通わせて具合をみたのだと思う｡

多分あの｢ことばの教室｣に通った経験があるのは
よほどの事情がある人間以外は､自分だけだろう｡
何せフツーの子はあすこには滅多に､と聞いてたし
行ってたのを笑われたことすらあったから｡
幸い､入学後は何とかフツーに学校に通って
勉強したり遊んだりして６年間を過ごしたけれど
あすこに通って､悪い方に判断されてたら
自分はどうなっていたことやら｡

あれからもう30年以上の月日が経つ｡
ついでに言うと､
あの小学校の鉄筋コンクリの校舎ができてから
今年で45年になる｡
いい加減ｶﾞﾀも来てるし､生徒も減った筈｡
あの｢ことばの教室｣はまだあるんだろうか？