「若い頃のやり損ないは、たいがい色慾から来るもので孔子も『之を戒むること色に在り』と言われたが、実にその通りだ。しかしながら、若い時には、この色欲を無理に抑えようとしたって、それはなかなか押さえ付けられるものではない。ところがまた、若い時分に一番盛んなのは、功名心であるから、この功名心といふ火の手を利用して、一方の色欲を焼き尽くすことが出来れば甚だ妙だ。そこで、情慾が盛んに発動して来た時に、じっと気を静めて、英雄豪傑の伝を見る。、そうするといつの間にやら、段々功名心は駆られて、専心一意、ほかの事は考えないようになって来る。かようになって来れば、もうしめたものだ。今の書生連中も、試みてやって見るがよい。決して損はないよ。」(勝海舟「氷川清話」より)
勝海舟らしい言い回しです。現代にも語っているかのようです。