この本を手に取るきっかけになったのは、訳者の石田遊子さんが私の妻の高校時代の友人だったからでした。千葉県立船橋高校の仲良しグループ数人の一人で、私も2、3回お会いしたことがあります。ちなみに、船橋高校といえば立憲民主党の野田佳彦党首は彼女たちの後輩ということになるようです。
石田さんの略歴を読んで私との接点が多いのに驚きました。彼女が卒業した千葉大学教育学部は私が同時に受験したところで、入学していればそこで出会っていた可能性もありました。さらに彼女は白梅学園短期大学専攻科講師ということで、白梅学園大学非常勤講師の私とどこかですれ違っていたかも知れません。
さて『声なき声で語る-ボクが過ごした日々、その世界と自閉症』の話になります。
著者のティト・ラジャルシ・ムコパディアイさんは、インドに住む自閉症の青年です。この本では自身の成長を客観的俯瞰的にしかも克明に綴っています。その表現力や描写力は半端ではありません。自閉症の概念を覆されるほどです。前半の「声なき声」は8歳ぐらいに書いたというからさらに驚愕させられます。母親のマソさんは「マソ・メソット」の創始者で、母子二人のやり取りが彼の成長に大きく影響したようです。イギリスのBBC放送も彼のことをドキュメンタリーで取り上げました。
自閉症の当事者が綴る希有な「成長記録」として読ませてもらいました。