エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

勿忘草・・・Non Ti Scordar Di Me

2014年05月06日 | ポエム
Andrea Bocelliと Plácido Domingoが歌う、勿忘草である。
三大テナーの一人、プラシド・ドミンゴと、当代きってのテナーのアンドレア・ボッチェリである。








勿忘草・・・ぼくが若かった頃に、繰り返しくりかえし聞いた曲である。

この曲を聞いていると、自然に涙が溢れてくるのである。
今もそうである。

過ぎた、あの頃の純粋な愛の物語は、おそらくあの世まで持っていくのだろうと思う。
だから、秘めやかな愛なのだ。
アガペーのような、プラトニックのような煌めいていた愛情であった。







「勿忘草私はここに咲いている」







美しかった、青春の日々。
勿忘草に思いを投影した、あの朝。

駅からアパートまで、君をおんぶして歩いた。
口づけと言う行為があるのだと云う事にすら・・・気付かなかった若者であった。

オールナイトの映画館で、朝方まで見続けた「人間の条件」。
君を、アパートまで送って行き、アパートの前で、手を握りもせず別れた朝。
もう、遥か彼方へと忘却してしまった君の胸のふくらみ。

ぼくの背中に、君が残した記憶の欠片に・・・。



      荒 野人