エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

鼬(いたち)と云う舞台

2014年12月10日 | ポエム
昨日、芝居を観に出かけた。
場所は三軒茶屋「世田谷パブリックシアター」である。
シス・カンパニー公演だ。

「鼬」は、昭和初期の名作である。
それを、真船 豊が脚色して長塚啓史が演出した。



舞台には、芸達者が揃っている。
鈴木 京香、高橋 克美、白石加代子達である。

けれど、舞台としては今一胸に落ちない。
観客の共感が得られていない。

昭和初期の名作であったとしても、普遍的なテーマと演じられる舞台の共有が出来ないのである。
けれど、白石の演技は素晴らしく光る。
鈴木は、思いがけず良い。
高橋は、いつも通りである。

舞台が終わって「カーテンコール」が一度も無かった。
脚色と演出の不味さ、である。
期待が大きかっただけに、残念!







「いたちの毛たっぷり含む墨の味」







次は、この舞台を観たいと思っている。
チェーホフの「三姉妹」である。

余貴美子、宮沢りえ、蒼井 優が三姉妹となる。
チェーホフは、今でも普遍的に鑑賞に耐える。

今日の「鼬」は、設定に無理がある。

加えて、劇場の酷さである。
椅子が高い、椅子と椅子の間があまりにも狭い。
客席のレイアウトが、嫌らしい。

言い換えれば、観客の事よりデザイン優先、狭さの中でどう人を多く入れるのか・・・しか考えていない。
あまりに無機的な劇場である。

加えて、劇場内で写真を撮ろうとすると「設計者の著作権が侵されるので、止めて下さい!」と叱咤される。
叱咤した後も、ずっと「見張っている」感じである。
舞台が始まる前であり、記念に一枚とカメラを構えたらしいお二人がしきりに恐縮している。
それを横で見るのも嫌な気分である。

著作権が優先されるほど立派な劇場なのか・・・。
確かに、舞台を撮ったり他者を撮るのは御法度だと思う。
けれど「記念に一枚」も駄目なのか。
それなら、人を劇場内に入れなければ良い。
箱だけ作って、美術館のように見せればよい。

とまれ、嫌な気分にさせられた劇場であった。
二度と行きたくない劇場である。
「世田谷パブリックシアター」は最低である。




      荒 野人