エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

ソウルでエイを食らう!

2009年10月24日 | グルメ
エイは臭い、だから旨いのである。
韓国の名物料理ではあるけれど、韓国の人でもそうは食べない。
珍味の部類なのである。

この場合「ガンギエイ」の刺身である。



まるで宇宙人ですね。

エイは死後に自家発酵を始め、体内にアンモニアを生成する珍しい魚だ。
その香りを楽しむことに主眼が置かれた料理が、ホンオフェ。
刺身である。
ホンオは「洪魚」と書いてガンギエイのこと。
フェが「刺身」だ。
新鮮なエイをそのまま刺身にすることもあるけれど、甕(かめ)などで保存し、発酵させたものを刺身として食べるのが有名なのだ。

鼻を突き抜けるようなアンモニア臭がするのである。

この日、ぼくは謎のペルー人と友人の金先生を訪ねたのである。
彼が招待してくれた料理がエイの刺身を中心とした韓式定食であった。



ハンガン市民公園沿いを歩いて彼のオフィスに向かった。
国立図書館の正面のオフィスビルの8階にある事務所には、懐かしい顔もあった。

かつて大学で講師として教鞭もとっていた旧知の友人も待っていたのである。
彼は、韓国の急進的左派でもあったけれど、今はかなり柔らかくなった!と金先生は笑いながら語っている。

本当に親しい友は、数年の時間を一気に飛び越えてしまう。
久しぶりに会った友人であった。



白菜キムチである。
辛い!甘さは食べた瞬間には微塵も無い。
だから旨いのである。



白菜とキュウリの水キムチである。
これもさっぱりとして旨いのである。

これ以外のおかずも多い。

茹でたイカ                    

卵焼き 

ししとうといりこの和えもの

きゅうりと玉ねぎの和えもの


これ以外に、まさに一品料理として立派に通用する采も登場するのである。



なんとチャプチェである。
これだけでご飯がいただけるのである。

柔らかくもどした唐麺(タンミョン)と呼ばれる春雨と、細切りにした牛肉、同じく細切りにしたニンジン、タマネギ、ホウレンソウなどの野菜、シイタケやシメジ、キクラゲなどのキノコ類をゴマ油で炒めあわせ、醤油、食塩、砂糖などで甘辛く味をつける。

これがチャプチェのレシピである。



赤貝である。
ピリ辛に味付けしてあり、生臭さは殆どないのである。

そして・・・。



右側に規則正しくならんでいるのがエイの刺身である。
左側に並んでいるのは蒸した豚肉である。
上のキムチは3年物である。

3年物もキムチは、すでに乳酸菌の塊である。
柔らかく、破れてしまいそうな3年物のキムチにエイの刺身と豚肉を巻いて食べるのである。

これが旨いのである。
エイの臭いはもう気にならない。
次々に口に放り込む。

口福である。

ジンロとビールを割って「爆弾」と称して飲む。
強い酒である。
強いけれど、飲めてしまうのである。

仕上げはキムチたっぷりの豚肉と豆腐のチゲ鍋である。



白いご飯とこれが合うのである。
癖になる味である。

チゲと、エイの刺身、豚肉の一皿以外はすべて食べ放題である。
チャプチェもイカも赤貝も、そして当然キムチも当然食べ放題なのである。
まるでグルメ天国である。

金先生の最近のお気に入りの店であるらしい。


女将は美人であった。
残念ながら、あまりの美人で写真は恐れ多く、お願いできなかったのである。




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                荒野人


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