エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

茅屋からの夜空

2009年11月17日 | 日記
八ヶ岳の茅屋からの夜空は、星の穴が無数に在って吸い込まれそうである。
手を伸ばせば、お星様は掴(つか)めるのである。

こんな歌があった。
  お星様一つ
  プチンともいで
こどもの心眼では、理屈でなくお星様は掴めるのである。

しかも、子どもはお星様を食べてしまう。
  コンガリ焼いて
  急いで食べて
  お腹こわした
のである。

極めて現実的世界の中で子どもはお星様に触れているのだ。

羨(うらや)ましい。

さて、わが八ヶ岳の麓の茅屋ではお星様がいっぱい見えるのである。




       星の穴

    星に生命があるとしたなら
    その穴は
    呼吸する器官である
    振幅を繰り返しつつ
    その穴は
    煌(きらめ)くのだ

    星の穴は
    誰にも見える訳ではない

    星の穴は
    汚れなく慈(いつく)しみ深く育った心にだけ
    その姿を現すのだ

    ぼくもかつては見えていたのに
    都会で暮らすようになって
    その穴を探せなくなってしまった

    都会の汚れちまった空気や
    人とのふれあいの遠さに
    ぼくはすっかり馴(な)れてしまって

    星の穴が
    逃げてしまったのだ

    いまでは
    物理的にしか
    お星様を見られなくなった
    見られなくなってもう長い時間が過ぎてしまった

    濁ってしまったぼくの心を
    洗い流せるのだろうか

    星の穴から降り注ぐ
    光彩に点眼してもらう
    心まで点眼できるのだとしたら
    ぼくは全てを投げ打って
    星の穴を探す

    星の穴を探す旅に出るだろう






茅屋からの便りが、間もなく滞る。
冬には誰もいなくなってしまうからである。



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                     荒野人


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2 コメント

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Unknown (ちょごり)
2009-11-17 17:55:32
星の穴は人間がより人間の業を身にまとう時
きっと闇にふさがれてしまうのでしょうね・・・
幼かった日に観た夕ぐれ時観たキラキラ星がとても印象が強く残っています。
本当に、きれいだな~と、思ったものです。
返信する
ちょごりさんへ! (荒野人)
2009-11-17 20:08:10
キラキラ星の輝きは確かに幼かった日々の追憶です。
ぼくは早く母を亡くしましたから、夕暮れに一つ輝く星に向かって独り言を言っていることがあります。
泣きたいくらい今更母が思い起こされてなりません。
星への思いは特別なものがあるのです。

きっとちょごりさんも山で見た星を思っているのでしょうね。

山の星は「満天の星」ですからね!
返信する

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