「そこで兵も、みなそれぞれ枝を切ってアビメレクについて行き、枝を地下室の上に置いて火をつけ、地下室を焼いた。こうしてシェケムのやぐらの者たち、男女約千人がみな死んだ。」(士師記9:49新改訳)
ギデオンの血筋とはいえ、アビメレクはこの上なく残忍な男であった。ギデオンの子ども、なにしろ、彼の兄弟たち七十人を、末の子ヨタムを除いて全部殺したのである。▼それに続いてシェケムの支配者となったが、人々が彼に逆らったのでこれを徹底的(てっていてき)に破壊し、殺戮(さつりく)した。最後には地下室に逃(のが)れた男女千人を火で焼き殺してしまった。人間のすることとは思えない仕打ちである。▼だがそのむくいがやって来た。テベツという町を攻めたとき、やぐらに立てこもった人々を焼こうとして、その根元に近づいたのだが、一女性が上から投げたひき臼に頭蓋骨(ずがいこつ)を砕かれ、あっけなく死んだのである。傲慢(ごうまん)で粗暴(そぼう)なアビメレクは油断していたのだろう、恥辱(ちじょく)を負って死に、短期間の支配は終わった。あわれみなき者は、あわれみなき最後を迎える。▼「思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、刈り取りもすることになります。自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、御霊に蒔く者は、御霊から永遠のいのちを刈り取るのです。失望せずに善を行いましょう。あきらめずに続ければ、時が来て刈り取ることになります。」(ガラテヤ6:7~9同)