Mrs.ベリーのVeryな一日

☆ミセス・ベリーのSmileダイアリー☆エレガントな女性目指してセルフプロデュース中(^v^)

地球発、宇宙経由

2010年03月27日 17時06分41秒 | きょうのベリー♪ (日記)
恋のかたち、愛のいろ
唯川恵、小手鞠るい、畠中恵、原田マハ、ヴァシィ章絵、朝倉かすみ、角田光代
徳間書店

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天気      寒いけど太陽キラキラ



角田光代 著: 地球発、宇宙経由
を、読みました。



一度読んだのに、なぜかアップしていなかった、物語。
改めて、もう一度読んでみました。


全く向学心のない大学生、木山晶はある日変なメールを受信します。
どうやら、たんなるアドレス間違いのような、このメールの発信者は、
平凡な30代後半の主婦で、悪友の悪ふざけで、間違いメールに
それらしく、返事を書いて送信してしまいました。

そんなエピソードから始まる、この物語は、
私の世代よりも少し上の人には、とても親近感を覚える作品かもしれません。


携帯電話を手にした主婦は、懐かしの恋人にメールを送るのですが、
携帯電話になじんでいない彼女は、アドレスを入れ間違い、
知らない相手に送ってしまうのでした。
結局、昔の恋人との再会は果たせず、夫と自分を見つめなおすきっかけに
なるようなのですが、この間違いメールは、彼女のみならず、
大学生の恋心にも、小さな変化を起こします。


20代のころには、携帯電話なんてものは、こわもて系のお兄さんが
肩から掛けて持ち歩く持ち物で、
一般市民には全くなじみのないツールだったのに、
たった10年で、小学生までも所有するほど普及し、
それは、電話としてよりも、メールやネットとして使用されることが
あたりまえになった社会のなかで、
うっかり時代に乗り遅れ、携帯が生活の中に浸食していない人には
この物語の、登場人物である、専業主婦の気持ちが
よくわかると思います。

沢山の人の、いろいろな思いが、宇宙を経由して
誰かのもとに届く。それはまるで祈りの様だと、ラストシーンで、
大学生がつぶやいた一言に、心温まる物語。
無機質なイメージの携帯電話に、温かなイメージをもてそうな、
そんな物語です。