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キャンセルされた街の案内 吉田 修一 新潮社 このアイテムの詳細を見る |
天気 花見日和なのに、どこにも行かず
吉田修一 著 : キャンセルされた街の案内
を、読みました。
10の短編を収めた一冊です。
最初の作品、“日々の春”は、ベテランOLが新人社員を見つめる物語。
積極的な恋愛感情もなく、でもなんだか気になる新人君。
大人の落ち着いた女性の視線を、よくこれだけ自然に
描けるものだなと思いました。
吉田修一作品を読んで、いつも感動するのは、
九州の男の描き方の、リアルさ。
長崎出身の作者は、長崎の男もよく作品に登場させますが、
その他、福岡県のどうやら旧産炭地系の男なども
この本には登場していました。
どこか垢抜けず、田舎感があって、不器用で、単純。
そんな男を描かせたら、作者の右に出る人はいないんじゃないか?
いろんな男たちの姿を、見せる天才だと思います。
その他、いろんな街や、いろんな人々が登場する物語たち。
どれも刺激的で、心をなでたり引っ掻いたり。
最近、いくつかの作品が映画化されているのが、
うなずける作者だと思います。