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廃墟建築士 |
三崎 亜記 | |
集英社 |
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三崎亜紀 著 : 廃墟建築士
を、読みました。
7階闘争、廃墟建築士、図書館、蔵守 の
4つのお話が詰まった一冊。
“廃墟建築士”というお話は、文字通り廃墟を建築する建築家のお話。
まるで通常の建築物のように、廃墟を設計し、建築し、
長い時間をかけて、廃墟を廃墟として熟成させてゆく文化が
大変遅れていると感じた主人公は、若かりし頃から
欧米を習った、廃墟の建築に人生を捧げて、いつしか初老になっていました。
彼がその人生を、すべて捧げた甲斐あって、廃墟の文化レベルは
欧米に追い付き、今まさに追い越そうとしていた矢先に起こった
信頼を揺るがす大きな事件。
それは、“廃墟偽装”から始まります。
と、このあらすじを読んでも、廃墟?????と、思う人はおおいでしょう。
それがまさに三崎ワールド。
「んな、アホな~!」という、あり得ない制度や、常識や、価値観や、美意識が、
三崎ワールドの中では普通であって、あちら側からこちらを見ると
こっちのほうが、なんかちょっと変わってる世界。
そんな、鏡の向こうに存在してそうな、もう一つの日本らしき国が
登場する物語たちです。
そういえば、今“工場萌え”なんかみたいに、“廃墟萌え”があって、
写真集なんかが出てるんですってね。
そんな、ブームに刺激された作品なのかな?