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シルエット |
島本 理生 | |
講談社 |


島本理生 著 : シルエット
を、読みました。
主人公“私”は、高校2年生の8月3日、最後の話し合いをして、
そして冠くんと別れました。
穏やかで、まるで春の雨のような温かい彼の事を、
全身で好きになった“私”は、しかしその愛情を受け止めてもらえず、
賢い二人は、話し合い別れを選んだのでした。
その後彼女が出会った、大学生せっちゃんは、冠くんとはちがった
温かさで、彼女を温めほぐし、包みこんでくれます。
その恋に出会う前の、“私”の様子。
冠くんの親友、はじめがもたらした、人と打ち解ける高校生活。
等身大の当時17歳だった著者が綴った、
群像新人文学賞優秀作受賞。
“リトルバイバイ”を読んでから、どれくらいたったでしょうか?
このブログには記録がないので、5年以上前ということになります。
久しぶりに読んだ、島本作品はやはりどこか印象が違いました。
以前読んだ時は、やけに大人っぽい10代だなと思ったのですが、
今回は、内容が10代の恋を題材にしているので、
とても若さを感じました。
単純にストーリーを見れば、そんなにフラフラしてちゃいけませんよ。
と、老婆心ながら主人公である“私”に説教したい。
でも、それが10代の恋というもの。
著者も言っているように、自分の心の中に他人を受け入れるのは
とても大変な作業なのです。
とんと忘れてしまった、二十数年前の私も、
友人たちとの距離感に、深く悩んだはずで、
しかし、その時はそんなに大げさには考えてもみませんでした。
いえ、考えていることに、気がつかなかったんだと、思いました。
高校生の女の子なんて、見かけは全く大人以上に大人なんだけど、
やっぱり中身は、産毛がポヨポヨしたひよこちゃんなんだな。
そんな風に思えるほど、私は大人になり、
10代って切ないな。と思った物語でした。