Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

豊川稲荷

2014-05-30 00:10:09 | 東海地方


豊川稲荷は愛知県豊川市にある曹洞宗の寺院です。
稲荷と言えば、赤い鳥居の稲荷社を想像しますがここは寺院に祀られています。
正式名称は豐川閣妙嚴寺。

宗教は異なっても、狐がシンボルのように境内で見る事ができるのは一緒です。
神道で言う、稲荷社の狐は祭神である宇迦之御魂神の眷属として存在するのですが、寺院の場合は荼枳尼天の眷属として捉えられています。
荼枳尼天というのも曖昧な神で、遥か大陸を起源に持つ女性神。日本では狐に乗って現れるとされています。(大陸ではジャッカル)

神仏分離以前は現在のような宗教同士の明確な仕切りはありませんから、大陸の神と日本の神と仏が仲良くしていたわけです。
狐に乗る仏教寄りの外来神である荼枳尼天が神道で祀る稲荷神と同一視されたのでしょう。






豊川稲荷の由来としては、
鎌倉時代の禅僧・寒巖禅師が2度の入宋を果たし、2度目の復路の海上で荼枳尼天の託宣を受けた。帰国後には自ら荼枳尼の神像を彫り、善神として祀った。
時は流れて、寒巖禅師の6代目の弟子が豊川の地に寺を創建する際に、寒巖禅師の彫られた荼枳尼天の像を山門に祀ったために稲荷信仰が始まったといいます。

当時すでに根付いていた稲荷信仰と習合した結果、属性が不明瞭な荼枳尼天と狐は稲荷神と同じ属性を帯びていくようになります。
そして食物・産業・商売の神として認知されるわけです。

ちなみに本殿は千手観音が祀られているので、荼枳尼は境内の鎮守として祀られています。
参道から本殿までは普通の寺院と何ら変わったところはありません。

妻入二重屋根の立派な本殿に参拝して、右手へ進むと、奥ノ院に向かう鬱蒼とした針葉樹の森になります。
参道の両側には幟が並んでいます。白地に赤で文字が書いてあるのですが、ここでは参拝と共に幟を奉納する習わしがあるそう。
鳥居こそ無いですが、幟の続く景色を「千本幟」と名付けているのだから、稲荷社と変わりません。
京都の伏見稲荷には信者の奉納した鳥居が連なる「千本鳥居」が有名です。
これは疑いなく、稲荷信仰です。



奥ノ院を過ぎて、さらに奥へと続く参道を歩いていくと霊孤塚があります。
豊川稲荷で最も狐が集まる場所。
木々に囲まれて、大小さまざまな狐像が安置されています。
以前は信者が奉納していたとも言われていますが、今はどうなのでしょう。
赤い布を掛けた狐像が巖座から鋭い視線を投げかける霊気漂う空間です。

動物を神とする信仰は古代より存在しましたが、古代以降は人格神の下位概念としてとらえられることが多く、稲荷信仰においても狐は神ではありません。
しかしながら、神という不可視の存在よりも狐という眷属がいることにより信仰が庶民に受け入れられた部分も大きいでしょう。
狐と宇迦之御魂神が結びついた時期は明確にはわかりませんが、狐は稲荷信仰における一種のマスコットとなり、眷属らしく神と人間の架け橋の役割をしています。
あまりにも稲荷=狐のイメージが強いため、狐を信仰の対象そのものと考えてしまう人も多いそうです。

「狐に化かされる」なんて話が江戸時代にはありますが、それでもなお不思議な存在であり続けた狐。
以前はもっと一般的に目にする事ができる動物だったのでしょうか。

P.S.
霊孤塚は近年はパワースポットとして注目を集めているようで、塚内にある溶岩で積まれた大きな碑に挟まっている硬貨を取り出すと金運が良くなるとかならないとか。
儲かれば必ず一年以内に取り出した量より多い硬貨を隙間に戻しに来ることになっているそうです。





狐の表情も豊かで、険しいものから傾いているものまであります。



寺院境内というよりは稲荷の森といった雰囲気で、仏教色は払拭されているようです。



次々と奉納されているためか、苔の生え具合から時機が異なることがわかります。



狐は薄暗い雰囲気が良く似合います。



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