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斎藤幸平「人新世の資本論」を読む

2021-03-07 12:49:50 | 政治
結論から言うと、時間がない人は、お金と時間の無駄になるので、この本を読むことはお勧めしません

ただ私は、この本がベストセラーになっているとのことなので、この本の著者が「どのような思考パターンを持っているのか?」ということと、この本に共感する人が、「この本の何に共感するのか?」に興味があったのです。
この本の結論の一つとして、著者はこのように書いています

「資本主義による収奪の対象は周辺部の労働力だけでなく、地球環境なのだ。資源、エネルギー、食料も先進国との「不等価交換」によって、グローバル・サウスから奪われていくのである。人間を資本蓄積のための道具として扱う資本主義は、自然もまた単なる略奪の対象とみなす。このことが本書の基本的主張のひとつをなす。」(下線・強調はふきあえずによる)

この著者の言うグローバル・サウスとはグローバル・ノースの反意語で、経済的に遅れている地域のことを指します。その前後には、延々と地球環境が経済発展によってどれほど破壊されていたのかを示す資料が山のように添付されており、著者の並々ならぬ力の入れ具合が読み取れます

ただ、私が前述の文章のなかで、なぜあえて下線部分を引いたかのか?というと、そこに斉藤さんの根本的な刷り込みや思い込みがあり、議論の歪みが生じていると思うからです。原因は資本主義ではなく、個別の企業や個人であり、開発や建設に関わった人たちですよ。ですから、資本主義そのものを否定する根拠など、まったくないと思いますね。ここに論理のすり替えがあると思います

例えば、パーム油の生産地の問題として、マレーシアの熱帯雨林地方の環境破壊を上げていますが、それらはそもそも、現地の人たちの合意がまったくなければ、成り立たないものですよ。彼ら現地の人々も豊かな生活に憧れており、生活の糧としてパーム椰子の生産を始めたのではないですか?責任を資本家にすべて押し付け、自らは被害者面する、これはまさにマルクスの被害妄想経済学そのものですね。

まあこれを言っては身も蓋もないが、まず本書は地球温暖化問題によって、先進国、資本主義は利益至上主義でCO2を排出することを制限できず、地球環境を破壊し尽くしている、と主張するが、地球温暖化問題とCO2の関連性は単に学説の一つに過ぎず、シロクマの数の減少(実際にはシロクマの個体数は増えている)や海面上昇(海面上昇によって陸地が消えるとされたツバルの海面上昇には全く変化がない)なども上げているが、これらが本当に根拠のあるものかどうかの検証はなされていません。

私はむしろ、環境破壊を言うなら、現地民への教育をきちんと行うべきだと思うし、経済発展と環境を守る意識の醸成を行うべきで、資本主義をいたずらに攻撃する必要など、これっぽっちもないと思います。

まあ、まだ本書の先は長いので、ぼちぼちと行きます

それではまた

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