絹糸のしらべ

一絃の琴、きもの、文学etc…日本人のDNAが目を覚ます・・・

映画「永遠のゼロ」を観て

2014年03月19日 03時33分18秒 | Weblog
「永遠のゼロ」映画も観ました。
平日の午後でほとんどお客さんがいなくて、近くにいた男性は初めから終わりまで泣いていました!
そうかなあ?小説ほどは泣きませんでしたが・・・
うまく簡素化されて、作者の意図するところは十二分に伝わってきました。

特に最後の場面、ゼロ戦に乗った宮部久蔵が孫に敬礼しながら去っていくところは
戦争に反対しつつも家族や国を守るために特攻機にのって敵に突っ込んでいく場面と
オーバーラップさせて、胸に迫ります。
泣けて泣けて・・・エンドロールまで久しぶりに見ました。

この平和な時代をみたら宮部久蔵は・・・
この平和な時代に生きていたら・・・
いろいろな思いを持って帰ることになりました。


一人の日本人を通して、時代とは何なのか、時代はどのようにして作られたのか
いや、どういう時代を自分たちは作ればいいのか、
そのために人はどう生きればいいのか、など
さまざまなことを問いかけてくる映画となっています。

歴史は「過ぎ去った昔」ではなく、今を生きる自分たちを作ったものであり
それを振り返ることなく「今を語る」ことはできないと思います。


歴史を振り返るとき、間違いやすいのは「現代の視点」で歴史を見てしまうことです。
そのときなぜそれが起こったのか、当時の状況はどうだったのか
当時の人々はなぜどのような思考でそれをとらえ容認していったのか等を
深く精査し考察すべきと思います。
そうすれば、昔のことでなく、現代にも通じる構図や思考が浮かび上がって来ると思います。
つまり、「昔のこと」が現代もよみがえる可能性が常にあるということです。

そういう意味でこの小説も映画も「強烈な反戦もの」であると思います。
戦争の悲惨さを描いて涙を誘うようなものではなく
あんな戦争を起こさないために、わたしたちはどう生きたらいいのか?
毎日必死に生きているのか?
と、問いかけているのです。

強烈な反戦!そして・・・

2014年03月19日 03時06分29秒 | Weblog
永遠の0 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社



この本の題名を聞いただけで右傾ものと思い嫌悪しそっぽ向いた人にこそ読んでほしい本。

ひとりの海軍兵士の生きざまを(死にざま?)多数の人が語るスタイルによって
幾通りにも受け取れることを大前提にした、客観性もある、
まるでドキュメンタリーのように感じられる小説です。

特に後半の「桜花」以降は、どんなにこらえようとしても
胸に迫ってくるものを抑えることはできないでしょう。

ただ「戦争は悲惨だ」とか「戦争はいけない」だけでなく
『君は精いっぱい生きているか?』をぐいぐい問いかけてきます。

本土決戦を国民全員が体感した時代から、まだ60余年経っただけなのに
戦争の時代が悪い夢が過ぎ去ったように忘れ去られ
いまの平和な時代を当たり前に過ごしているわたしたち。

この平和な生活の前に、いったいどんな時代があったのか
日本という国がどんなふうに戦争に向かっていきどんなふうに敗れ
その時代の人々は何を考え生きていたのか
フィクションでありながら、強烈に迫ってくる作品となっています。