FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<コンペに行こう>東京カップ ①

2013-05-22 15:30:35 | コンペティション参加報告
4月28日(日)
大会参加者:ユキちゃん(小5)、コーヘイ(中2)、タクミ(中2)、ユイト(高1)

快晴
毎年行われている「東京カップ」は、国体東京代表選手やジュニアの強化選手を選出する大会だ。
今年は東京で国体が開催されるため、今回の「東京カップ」は国体開催時の壁を使用し、競技も2日間にわたって行われる。
一日目の今日は予選である。

私も「チーム」所属の子どもたちが出場する大会のうち、この「東京カップ」と「オール神奈川」は
大会のメンタル面のサポートや心構え、大会での過ごし方の習得のため帯同することにしている。
今回は、ユキちゃん、コーヘイ、タクミの3人がチームメンバーだ。
チームの子どもたちには、事前に心構えや目標、タイムスケジュールといった大会参加のためのワークシートを渡してあり、その記入を義務付けてある

今年の「東京カップ」予選はオンサイト1本の結果で決勝進出が決まる。
一発ガチンコ勝負だ

10時大会受付開始なので、その1時間前位に現地到着。
コーヘイがすでに到着しており、タクミもじき到着。
2人はランニングをしたりしてアップを開始
30分くらい前にユキちゃんが到着。
仲良しのお友達と一緒だったのだが、首根っこを捕まえて今日の競技中に頑張ってほしいユキちゃん自身の注意点を伝える

ランニングを終えた中学生2人にも各自のメンタル的な注意点を伝え、受付に。

予選は※オンサイトなので選手はアイソレーションに入らなくてはならない
今回は指導者のアイソレーションへの同行も出来ないので、「帯同」とはいえほとんど何を指導するというヒマもなく、彼らはアイソレーションに消えて行った

*下線部注:「オンサイト」とは、他者の登りを参考にしたり、ルートに関する情報を聞いたりせずにトライすること。「オンサイト」方式の競技では、選手はルートの情報が入らないように隔離され、これを「アイソレーション」と呼ぶ。

あと会っていないのはユイトだけ。

それにしても、受付前はパンプのPJCCやベースキャンプのジュニアスクールなど、
各スクールの指導者が選手の子どもたちを激励するため集めており、
さながら「お受験」のような様相を呈していた。
数年前には見られなかった光景だ。
スクールも、クライミングをする子どもたちの数もさることながら、競技への関心の高さを改めて感じさせられた。

ユイトは遅いな~遅刻しちゃうじゃん
受付終了までもうほとんど時間がないと焦り出していたら、何とアイソのほうからユイトが飛び出してきた。
何やら慌てて忘れ物を取りに行くらしい。。。それにしても、いつの間に受付を通ったのだろう?気付かなかったな~
いったんアイソレーション入りした選手には、うかつには声をかけられない。
監視の役員の方の前で、「楽しんで」とのみ声をかけた。

東京国体の壁は、東久留米スポーツセンターの屋外に設置されていた。
いよいよ競技開始。
先ずはオブザベーション。
オンサイト競技には、通常6分間の「オブザベーションタイム」が設けられている。
決められた時間の中でルートを下見し、ムーブや攻略法をイメージしておくのだ。
この「オブザベーション」の能力は、選手の競技力を決定するといっても過言ではないほど重要な役割を持つ。

ユイトは東京の強化の仲間と、タクミはコーヘイと、ユキちゃんはお友達のMちゃんと。
子どもたちはそれぞれ、仲の良い子どもたちとあれこれ相談しながら熱心にオブザベしていた
 ↓予選オブザベーションの様子

~つづく~



<レッスン日誌>レベルアップレッスン@pump2

2013-05-17 14:14:05 | クライミングレッスン報告
4月21日(日)
メンバー:シンシン(小6)

小学校1年生の時からクライミングに来ているシンシンも、何ともう6年生
中学受験をする彼は、まさに受験まっただ中だ

久しぶりにクライミングをする彼に、今日やりたいことを尋ねると、
「とにかくクライミングを楽しみたい」とのこと。

体力的には弱っているので、難しい課題はできないだろう。
自分の限界に挑み、その達成感がクライミングの魅力の大きな部分を占めるので、
「楽しむ」クライミングをどう位置付けるのかは、なかなか難しいところだ
私にとっても、クライミングの「楽しさ」とは?というシンプルな命題を突きつけられた感がある。

とりあえず、この時間は「動き」の面白さと多様性にフォーカスすることとした。
その一つとして、ムーブの多様性を考えることに。
カードを使って、ひいたカードに書いてあるムーブで先ず課題を作成。
今日出て来たムーブは「クロス」。
一生懸命に考えて、とりあえずクロスムーブの課題が出来た
今度はその課題をクロスムーブを使わずに登れるかどうか検証してみる。
他のムーブを使えば行けることが分かった
どっちが楽かな?

次にシンシンが考えたクロスの一手を私が他のホールドに変更。
同じクロスムーブでも、ホールドの状態によって上から手を出したほうが良い場合や下から手を出したほうが行きやすい場合があるし、体の使い方も変わって来るんだよね

クライミングって、奥が深いね

<レッスン日誌>ビッグロックスクール

2013-05-14 13:21:22 | クライミングレッスン報告
4月17日(水)
メンバー:シオリ(小3)、リュウくん(小5)、アコちゃん(小2)、ユースケ(中2)、体験

今日はリュウくんの最終回レッスン。
小さい頃からずっとサッカーをメインスポーツにしていたリュウくん。
時間をやりくりしてクライミングを続けて来たが、
5年生になるにあたり、サッカー1本に絞ることを決心したのだ

基本練習の後は、新人のシオリとアコちゃんが「ピンチ」というホールドを覚えるために、
リュウくんとユースケが「ピンチ」ホールドを使った課題を作ることにした。
今までは「覚える」ことが主であったから、二人にとってはちょっとしたレベルアップだ

私はムーブやホールドを覚える時間を使って、子どもたちに課題を考えてもらうことを良くする。
覚えたムーブやホールドの知識を使って、今度は自分から生みだして行く作業をすることは、対象についての理解を深めるからだ。
その際、上手く考えられなくても気にしないですむような雰囲気作りを心掛けることが重要なのだが、これが案外難しい

特にムーブをテーマにした場合はなかなか上手く考えられなくて、凹んでしまう子も多い

「よーし」と勇んで取り組み出した二人。
ムーブよりもホールドをテーマにしたほうが考えやすいようで、今日は結構上手く作ることが出来た
シオリとアコちゃんも二人が考えた課題を登り、「この中でピンチはどれだ?」という問いにもきちんと答えられていた
実際に「ピンチ」ホールドを使ってみることで、印象に残ったかな~?

ルートの時間は、リュウくんとユースケは二人で組んでお互いにビレイをして登ることにする。
まだお互いが充分に信用できない二人は、お互いのビレイではすこぶるぎこちない登りだった
少しビレイヤーが足りないので、次の時間を受講しに来ていた中級のたけくんとユキちゃんにビレイの応援を依頼。
二人は「待ってました」と張り切ってビレイを手伝ってくれた

たけくんのビレイでリュウくんが10aを1本登り、ユキちゃんのビレイでシオリが2本目のルートにトライ
アコちゃんと体験のアコちゃんのお姉ちゃんは、「スラブ1」の壁をチャレンジ
アコちゃんはトップまでスルスルと登った

最後の挨拶で、リュウくんが最後であることをみんなに告げる。
「今までありがとうございました。」リュウくんの目は、ちょっぴりうるんでいた。






<アウトドアレッスン日誌>中級 ③

2013-05-10 12:57:08 | クライミングレッスン報告
お昼ごはんをはさんで、
今度はたけくんの目標ルートへのトライの番だ

当スクールの中級は、アウトドアの規定ルートをリードで完登することが修了条件となっている
アウトドアで安全に目標ルートを登る技術を身につけることは、
安全に関する理解や、クライミングの本質の理解を深める上で大変役立つからだ。


なぜやってはいけないことがあるのか。
登る時にも、気合いを入れて行くべきところと安全のために見合わせなくてはならない、
そのポイントはどこにあるのか。
アウトドアでの学習は、そうしたささやかな、でも本質的なクライミングの機微を
肌で感じながら身につけて行く良い機会なのである。


インドアのみで身につけた技術がえてして脆弱に感じるのは、
そうした深みのある経験が伴わないためであろう。


さて、怖がりのたけくんの目標ルートは、「アボリジニ」10a。
トップロープで何回か練習しているが、まだ一度もノーテンションでトップアウト出来ていない。
なのでたけくんに、「今日はどうする?中級は本当はリードクライミングの技術を身につけて行くクラスだけれど、
トップロープで練習したければ、今日は先生が掛けに行くよ。」
と聞くと、「リードで行く」とたけくん。
「でも、ヌンチャクはどうする?マスタースタイルはふつうのリードより、ちょっとタイヘンだよ」
とさらに聞くと、「大丈夫出来る
たけくんママの「その、根拠のない自信はどこから来るの」というツッコミをよそに、
おばあちゃんからもらったピカピカのヌンチャクを腰につけ、意気揚々と準備

核心がはっきりしているこのルート、トップロープで何度も練習しているし、下部はクリップホールドもしっかりあるので大丈夫だろう
マスタースタイルがどういうものか、実感してもらうのも悪くない。
この経験がたけくんの前進のための心理的カンフル剤になることを祈って、マスタースタイルでトライ開始。
ヌンチャクが掛っている状態と違って、出だしから心細さを感じたたけくん。
「わ…。。。悪い」と、何度も練習しているはずの下部も迷い気味。
頑張って核心のところまでどうにか到達したが、そこから動けなくなった
次にムーブを起こす決心がなかなかつかず、じっと岩に張り付いている。
そのうちに集中力もなくなって来たので、
「それは、頑張っているのとはちがうよ。まだいろいろな力が足りていない、っていうことなんだよ」と言い聞かせて下りてもらった。


「もうあまり時間がないけど、たけくんどうする?今日は先生がいるから、トップロープを掛けてあげられるけど?」
と聞くと納得した。

急いでトップロープを掛け、動き方の練習。
途中まで自分で掛けたヌンチャクもなるべく自分で回収してもらうべく、「がんばって上まで抜けて、ヌンチャクを自分でかたずけようね」と声をかける。
涙を振り絞りながら、必死の頑張りでトップアウト
自分のヌンチャクも、自分で回収出来た


午前中で今日の目標を達成してしまったユキちゃん。
「午後はユキ、『サンセット』をやろうと思うんだけど、どうですか~?」
自分で目標ルートを選んで質問してきた
「核心でリーチが出るけど、トライしたければしても良いと思うよ。でも、これはぶっつけ本番でマスタースタイルだけど大丈夫?」
と言うと、「やってみる」とのこと。
このルートは、ユキちゃんはまだトップロープで練習したことがない。
自分でヌンチャクの本数を数え、準備もかなり一人前に進歩

下部は「楽しい」と問題なし。
上部の核心。1トライ目はここでテンションし、ちょっと気持ち的にめげたのか割とあっさりと下りて来た。
しかし、それでスイッチが入ったようで、2トライ目は「もう一回やってみて良いですか?」とかなり粘ってムーブを探る。
出来なくても諦めない
「ちょっと、上を探ってみま~す」とムーブやホールドを冷静に探り、ムーブを組み立てる様子はかなり一人前のクライマーだよ
このトライでしっかりとムーブを決め、3便目。
気合いの入った実に良いクライミングで見事レッドポイントした


ユキちゃんは、着々とクライマーとして成長中だ
あとは日常の言葉遣いときちんとした挨拶だね~

<アウトドアレッスン日誌>中級 ②

2013-05-09 12:09:35 | クライミングレッスン報告
結び替えの練習が終わり、次はいよいよ各自の目標ルートへのトライだ
集合した時の話し合いで、先にユキちゃんが「アブラカタブラ」10aにトライし、
午後はたけくんの番で、「アボリジニ」10aにトライすることになっている。

少し離れたところにある「アブラカタブラ」のトライのためには、
ロープやヌンチャクを揃えて準備し、移動しなければならない
以前はそうした自主的な準備や前向きにチャレンジする心構えが皆無だったユキちゃんが、
今日は自分からヌンチャクを揃え、自分のロープを背負い、ちゃっちゃと準備
スゴイ変貌ぶりだよ

たけくんはフォローでトライさせてもらうことにして、自分のクライミング道具を持って移動。

エリアに着くと、先客あり。
たけくんがいつもお世話になっているビッグロックの人たちがスクールをしていた。
「ラッキー」とユキちゃん。
ヌンチャクをお借りして登れると密かに計算したらしい。
ところがユキちゃんのトライ前に、別のエリアに移動するために、ヌンチャクは回収されてしまった
まぁ、世の中そう甘くないのだよ。何度も練習しているルートなんだから、マスターで頑張れ

気合いを入れなおしてトライ開始。
ユキちゃんのリーチだと、ヌンチャクをかけるために一歩余分に動かなくてはならない。
前回もマスタースタイルでトライしたけれど、その時は精神的に完全にノックアウト状態だった
でも、今日は気合十分 とても良いトライをした。
頑張ったけれど、1便目は核心のところで1回テンションが入ったが、
冷静に足位置やムーブを確認し、トップアウト。

次のトライできれいにレッドポイントした



たけくんもユキちゃんが終了点に掛けてくれたロープでフォローでトライ
とても良く頑張って、初めて終了点まで登れた うれしかったね


*マスタースタイルとは、自分でクイックドローをセットしながら登ること。ジムでは予めクイックドローがセットされているが、アウトドアでは自分で掛けなくてはならない。一動作が余計に入ることで体力的にもきつくなるし、クイックドローを掛けるボルトを探しながら登るので、より正確なルートの読みも要求される。

~つづく~