寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

ミノタンのお正月(タコ揚げ)

2013年01月01日 23時35分51秒 | 子供のための科学のお話

 ミノタンは今朝早く起きて、パパ、ママと初目の出を見に行きました。海のずーっと向こうの方が少しずつ明るくなり、やがて燃えているように真っ赤なお日さまが昇って来ました。お日さまの上にあった雲が黄金色に輝き、とってもきれいでした。
 パパとママはお日さまに向かって手を合わせて、ミノタンが健やかに成長するように、世界の平和が早く来るように、そして世界中の人たちが幸せになるようにお祈りをしました。
 ミノタンは、お日さまがすっかり海から出るまで見ていましたが、お日さまの光が強くなって来たので眩しくなりました。すると、パパが、
 「お日さまが上の方へ昇って来ると、目を悪くするからいつまでも見ていてはいけないよ。これから少し海岸を散歩してから帰ろうか」
 と言って、ミノタンを真中にして手をつなぎ波打ち際を歩きました。地上が明るくなったので、砂の上にたくさんの貝殻が落ちているのが見えるようになりました。
 「パパ、この白いものはなんなの?」
 とミノタンはパパに聞きました。
 「これは貝殻っていうんだよ。海の砂の中に潜って棲んでいたいろいろな貝の抜け殻なんだよ」
 とパパが言いました。
 「砂の中にいたら苦しくないのかな」
とミノタンは不思議に思いました。
 「ミノタンが大きくなって、いっぱい勉強すると解るようになるんだけど、今はまだ難しいことだね」
 と言いながら少し貝の話をしてくれました。
 「普通の貝は海水がしたるくらいの浅い海の砂の中に棲んでいてね、貝殻の隙間から管を出して海水の中に溶けている空気(酸素)を吸うんだよ。ほら、前に水族館に行ったとき水槽の中に潜っていた人がいたね、あれと似ているね。だから砂の中にいても平気なんだよ」
 とパパが教えてくれました。
 ミノタンは難しいと思いましたが、貝に興味をもったようです。こんど貝のお話の絵本を買ってもらおうと思いました。
 初日の出を見てお家へ帰って来ると改めて
「おばあちゃん、パパ、ママおめでとうございます。」
 とミノタンは大きな声でおばあちゃんとパパとママに元旦の挨拶をしました。
「はい、おめでとう」
 とパパとママは声を合わせてお返事をしました。
 ミノタンの大きな声を聞きつけて、田舎から来ていたおじいさんが二階から降りて来ました。
「ミノタン、おめでとう」
 と、おじいさんがニコニコしながら言いました。
「おじいちゃん、あけましておめでとうございます」
 とミノタンは大きな声でチャンと挨拶ができました。
「おやまあ、ミノタンはよくご挨拶ができたね」
 とおじいちゃんとおばあちゃんが言いました。
「ご褒美にお年玉をあげましょうね」
 と、おばあちゃんが、小さくてきれいな袋をくれました。
「わーい、おじいちゃんおばあちゃん、ありがとうございます。パパ、ママお年玉をもらったよ。ほら!」
 とミノタンは、うれしさいっぱいにお年玉を見せました。
「さあ、お雑煮を食べましょうね。ちょうどおもちも焼けてきたわ」
とママが言いました。
「いただきます」
 とミノタンは言ってお雑煮を食べ始めました。
「ミノタン、おもちは少しずつよくかんで食べるのよ。そうしないとのどに詰まってしまうからね」
 とママが言いました。
「はーい」
 と言いながら、おもちを少しずつかみ切って食べました。
「おいしいね」
 とミノタンは、おもちを残さずに食べました。
「ミノタン、おせち料理も食べてね」
 と、おばあちゃんが一言いました。
 ミノタンは、厚焼き卵や黒豆やお煮染めを食べました。
 「もうお腹いっぱいだよ。ごちそうさま」
 と言ってミノタンは、お庭の見えるところへ行きました。お庭には、椿の木が赤い花をいっぱいつけていました。そして、雀が土の上の何かをつついていました。
 それからミノタンはおじいちゃん、おばあちゃん、パパ、ママたちとお寺に初詣に行きました。参道は、たくさんの人が歩いていました。お店も出ていました。ママはミノタンのために交通安全のお守りを買ってくれました。
 午後になると、コウタンが遊びに来ました。すると、おじいちゃんは、タコを作ってあげようと言いながら細く割った竹をもってきました。おじいちゃんは竹をナイフで削りながら、昔の子どもの遊びについて話してくれました。
「お正月には、男の子はみんなタコあげをしたもんだよ。タコは自分で竹を削って作ったもんだ。そらこうしてね。そして習字の紙を貼り、貼った紙に絵や文字を描いたものもあったな。できたタコは、両端の下の方に紙のシソポを付けるんだ」
「シッポは何で付けるの」
 とコウタンが聞きました。
「いいとこに気がついたね。タコがあげるとき、シツポを付けておくとタコがくるくる回らなくなるんだよ。そしてタコの上の竹はこうやって糸で少し曲げて弓のようにしておくといいんだ」
 と言いながら、おじいさんはタコをどんどん作っていきました。
「糸は、真ん中と骨の四隅に付けて、5本の糸を一緒に持ち、下の方の糸を少しだけ長くするといいんだ。そら、シッポを付ければできあがりだよ」
 ミノタンとコウタンは、おじいちゃんとおじいちゃんの作ってくれたタコをあげに近くの公園に行きました。公園には他の子もタコをあげに来ていました。そこにヒロもタコをあげていました。
「あ、ヒロもタコあげに来ているよ」
と二人は同時に言いました。ヒロも気が付いて、
「ミノタン、コウタンおめでとう」
と大きな声で言いました。
「やー、ヒロ、おめでとう」
とミノタンとコウタンも言いました。ヒロのパパにもきちんと挨拶をしました。
「やあ、ミノタンとコウタン、おめでとう。今年もヒロシと仲良くしてね」
 とヒロのパパも、挨拶しました。
「オッ、君たちのタコは手作りだね。すごいな、お父さんが作ってくれたのかい」
「これは、ボクのおじいちゃんが作ってくれたんです。絵はコウタンと二人で措いたんです」
 と、ミノタンが言いました。
 二つのタコは、ちょうどよい風に乗って気持ち良さそうにお空で遊び始めました。
 しばらくすると、ミノタンはタコがどうしてお空にあがるのか不思議になりました。
「ミノタン、何を考えているの」

 と、コウタンが聞きました。
「うん、どうしてタコはお空にあがるのかなあって、不思議に思ってたんだ」
 とミノタンは言いました。すると、近くにいたヒロのパパがこコニコして、説明してくれました。
「タコに糸を付けるとき、上の両端に付けた糸は下のよりも少し短く付けてあるだろう。そうすると、風がタコに当たると下に流れる風よりも上に流れる風の方が多くなるんだよ。そうするとタコは上に行くんだけど、いやー、これはまだまだ君たちには難しいね」
 ミノタンは、大きいタコを作り、それに乗ってお空にあがってみたいなあと思いました。

 飛行機が空を飛ぶ、ヨットが風上へ向かって走る、タコが揚がる、霧吹きの霧が出る原理は、基本的には、ベルヌーイの定理(1738年発表)を利用したものです。そう、高校の物理の授業で習ったことですね。ベルヌーイの定理について詳しくはネットで検索すると出てきます。 かなり難しいですが。


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