寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

無駄と思われる学問でも・・・・

2015年12月12日 21時08分47秒 | 寓居人の思い

 国際宇宙ステーションに滞在していた油井亀美也宇宙飛行士

が無事地球に戻ってきましたね。打ち上げ船の不調で宇宙ステ

ーションへの飛行が延期になったり出発が危ぶまれましたが順

調に宇宙ステーションに到着し幾多の仕事をこなして任務完了

ということで地球帰還になったのですね。お疲れ様でした。

 少し前のことですが、宇宙へ人を派遣するのを考え直したいと

いう談話をある大臣が発言しましたね。この議論は私が初めて

宇宙関係の研究を始めた頃から出ていました。アメリカでもNASA

の存続を巡って大変な議論がありました。長期間の議論の結果

半官半民のような現在のシステムに移行しましたね。

 日本では成果が上がっているときは沈静していましたが、予算

に見合った成果が出ないと存続問題が話題になる。しかし微少

重力での実験は地球上では思いも付かない結果が出ることが多

々あります。最も重要なのは実験条件が一定に保たれるので結

果の信頼性が高いということです。

 何事でも同じですが一度研究を中止してしまうと、これまで培っ

てきたノウハウはいくら記録を残しておいても風化していくものです。

それは文部科学省が大学学部の刷新と称して旧学部名を廃して

すぐ役に立つ学部へ組代えるよう指導しましたね、あれもおかしい

考え方だと思いました。化学の分野でいえば、有機合成化学がも

てはやされていた時代には有機化学をやらなければ化学者じゃな

いと極論する人達がいました。

 近年の日本の科学者は苦節数十年の地道な研究をしてきた結果

多数のノーベル賞がもらえるようになりましたね。普段はあまり話題

にならないような研究でも着実に成果を上げて行くことは大事なこと

です。

 私にも一つだけ自慢話があります。私は恩師のO助教授の下で人

間の各種臓器中の微量元素の分布を調べていました。そんなこと

やって何の意味があるのかとかそんなの化学じゃ無いなどといわれ

たものです。しかしその結果が役に立ったのです。ある日某国立病

院の医師から、医学の力ではもう手の施しようがないという赤ちゃ

んを助けてほしいという電話による依頼があました。

 私はしばしば臨床医学系の方から分析依頼を引き受けてきま

したが、この依頼は私には無理な気がしたのですが、その医師は

文献調査をした結果、私しか依頼出来る方がいないし、妻の医師

がある大学の医局にいたときに、私のことを聞き及んでいたとの助

言があったというので引き受けることにしました。赤ちゃんから

マッチの先ほどの試料をとっていただき、分析した結果、Mn(マ

ンガン)欠乏症を発見したのです。その結果を基に治療が進み、

運良くマンガン欠乏症が治癒したのです。その時の赤ちゃんは、

現在通常の大人として生活しているという便りを担当医師だった

方から最近いただきました。

 世界で初めて人のマンガン欠乏症が発見され、しかも治療に

よって治癒することが出来たのです。

 

 

 

 

 

 

 


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