初詣でに出かける兆しが、私の内に動き出していたのだろうか。いつかの初詣に出合った前田青邨の「武者」の絵を思い出していた。
新年にふさわしくお年玉のような展示があるかもしれない、そんな期待が湧いていたのだった。
常設展示の1階に入ると、こんな仏像があったのか、と日本の美術品に心が動かされる。
空海の特徴だそうな、片ながし結いのヘアスタイルの仏像の重要文化財・日本で初めて見た釈迦の横涅槃像もあった。
この頃、横寝入りをして気づくと、手を頬に当てているけれど、首の力でも補強しているのは、まさにお年頃だろうか、
と、ひとり思いを楽しみながら、肘も曲げないで腕を胴体にならしている釈迦の横寝仏像に対面した。
重要文化財は、当時どんな彩色だったのだろうか、コンピューターで色づけした絵でもあれば・・・と訪問者を満たすお仕事はたくさんありそうだと、
いつもながら思いつつたっぷりと半日を過ごした。WIが備わっていたので、スマホを持ってくれば別の解説も見えたかもしれない・・・
新年らしく、三蹟の展示や干支の絵画があったり、北斎の展示も間近で見られた。
描かれた自然は本当にダイナミックな構図で、「期間がかぎられているから」と特に観賞する婦人や熱心に見入る欧米の若者もいたりした。
絵を描く手ほどきの本も展示され、一生を描き続け、往生した人なのだと、まさに世界で認められる人物だと新たに実感し、誇らしい心地になった。
絵巻物の絵に惹かれるけれど、漢字ばかりの記述では文面も理解しずらく、こうした分野にあらゆる芸能が本領を発揮すれば、
当時の風俗も楽しめるだろう。とは、毎度感じる拙い身の羨望でもある。