エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 毎日更新しています。気候の良い時期は地元(京都)の寺社散策に励みます。

この春、とうに死んでるあなたを探して

2021-03-25 08:08:35 | 
榎田ユウリ 著  文春文庫  2021年 3月10日 初版

榎田ユウリさんのものって、『宮廷神官物語』と『妖琦庵夜話』のシリーズだけしか読んだことがありません。
宮廷神官物語は一応完結したんですが、24日におまけというか(笑)奇跡の完結編、というのが出されるのと、彼女の作家生活20周年記念というのでいろいろ作品が出版されて、宣伝も本人のTwitterでもあったりして(笑) チェックしていました。

この『この春、とうに死んでる・・・』も、榎田ユウリ祭りの1冊で、タイトルも良いし表紙もね、、、帯で隠れているけれど青空バックに桜が咲き誇っているきれいなものです。

彼女の作品には美しい男性が登場することが多いのですが、この本にもめっちゃイケメンな人が登場します。
イケメンとか美男子に惹かれているわけじゃないけれど(嘘です、好きですw)わたし、この本はお勧めの一冊です。

自殺だったり事故だったりして周りに死んでいる人が多く出てきます。
離婚話も出てきます。
でもねぇ、決して暗いままで終わらなくてこれは魂の再生の物語だと思います。

この前に読んだのが、いつも文句垂れてるM月さんの本だった、というのもあって、文章がとても滑らかで引き込まれていきます。
やっぱりすごく上手。
あまりの感動にFBにも書いてしまったのが、143ページに出てきた『春がふいに立ち止まる。』という1行。
春に限らず、だいたい季節は行きつ戻りつですんなりとは進まない。
でもさ、春って三寒四温なんて言葉があるように、他の季節よりじれじれした進み方をするように思うのよね。

とくに暖かい日が続いて桜もほころびかけて、ああ春になったなーと喜んでいたらいきなり真冬に逆戻りするような日があったりで。
暖かくなってちょっと油断してたら、、、『春がふいに立ち止まる』
うまい表現だなーと唸ってしまったぐらい(笑)

宮廷神官物語も妖琦庵夜話も我々世代の方に強くお勧めできませんが、この『この春、とうに死んでるあなたを探して』は、大人向けだと思うので、ぜひ、読んで欲しいなーと思います。

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