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ラストのステップ20では、砲塔を車体にはめ込んで完成となります。これは既に一度実施していますが、ガルパン仕様への追加工作はあと二つあります。
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劇中シーンで、残る二ヶ所のポイントを見てみましょう。車体側面前方に溶接固定された丸いハッチがあり、ワイヤーが無く留め具だけが七ヵ所に付けられています。留め具にはU字形の掛け具、挟み込んで固定する留め具の二種類があり、前者は側面の前後に四つ、後者は側面中央辺りに三つ並びます。
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追加工作に先立ち、車体や砲塔の各所に施されている溶接痕などのモールドをパテ塗りで埋めたりして消す作業をやりました。劇中車では、溶接痕は前部にある一ヵ所のみで、あとは合わせ目のラインだけが見られます。
キットのパーツでは、至るところに色んなモールドがあるので、これまでの工程にて少しずつ削ったり埋めたりして消してきましたが、まだ残っている所もあったので、ここで一気に出来るだけ消しました。丸いハッチをつける位置にも溶接痕がモールドされていますので、そこは念入りにパテを塗り、乾いてからヤスって仕上げました。
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砲塔では上面に溶接痕がモールドされていますが、劇中では合わせ目のラインしかありませんので、出来る限りパテ塗りで埋めて消しました。、
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パテが乾いた後、ひたすらサンドペーパーでヤスって均しました。その後に合わせ目のラインを軽くラインチゼルで引いて再現しました。それから再びサンドペーパーでヤスって均しました。
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砲塔を再び車体にセットし、外観の雰囲気を確かめました。溶接痕がほとんど無くなったおかげで、劇中車のような平滑感が出てきているように思いました。まあ、こんなところでしょうか。
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丸いハッチは、あらかじめプラペーパーで作っておいたものを貼り付けました。留め具のうちのU字形の掛け具は、エッチングパーツの余りをカットして曲げて作りました。挟み込んで固定する留め具はコの字形をしているので、プラ板で形をそれらしく作り、車体に取り付けました。
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車外装備品のジャッキ二個と消火器も、劇中シーンを参照して所定の位置に接着しました。
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これで組み立て工程は全て終わりました。残るは吸気口のメッシュ部分のみとなりました。レポート記事を何回かに分けているので、長いことかかったように思えてしまいますが、今回は年末の多忙期の直前に突貫で作りましたので、この段階まで二日しかかかっていません。
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サーフェイサーを吹き付けて塗装の下地を整えました。履帯も接着して同じように真っ白に仕上げました。
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ここで最後の追加工作を行いました。吸気口のメッシュ部分の再現です。先行作例では高価なエッチングパーツや金網などの使用が紹介されていますが、私の制作においては、艦艇模型のディティールアップなどによく使われる方法を選びました。ダイソーで100円で販売されている「アイロンあて布」を使う方法です。
これは、航空母艦のキットなどで転落防止ネットを表現する際によく使われるもので、そのメッシュのサイズがポルシェティーガーの劇中車のそれにほぼ近いです。
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この方法のメリットは、ナイロン製なので加工し易いことです。大きなアイロンシートなので、失敗しても何度でもカットしてやり直しが出来ます。そして模型用の接着剤および流し込み接着剤などで簡単にくっつけることが出来ます。上図のように、雰囲気もそれらしくなります。
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その後、本塗装を行いました。車体および砲塔はクレオスのMrカラーの36番のグレーグリーンを使用して吹き付けました。これはドイツ空軍機の機体上面色ですが、公式設定資料や劇中シーンを色々と検討した結果、ジャーマングレーより明るめでやや緑がかかった色であると判断しましたので、これにほぼ色調が共通するグレーグリーンを選びました。
このグレーグリーンの塗料は、グレーの色素が下に沈殿する傾向があり、瓶をよく振って攪拌しても沈殿したグレー塗料がなかなか浮かび上がらないという性質があります。これをうまく利用すれば、車体をグレーグリーンで塗装したあと、瓶の底の沈殿分を棒などでかき出して混ぜてグレーがかかった色にして、車輪部分を劇中車と同じように明るめのグレーグリーンで塗装することが可能になります。つまり、一色の塗料で二種の色感を出すことが出来るわけです。
なお、履帯のほうは28番の黒鉄色で仕上げました。 (続く)