ステップ9です。車体上面および後部エンジンフード部分を組み立てます。ガルパン仕様への修正箇所そして追加工作の量は、このステップ9にて最多となります。公式設定資料図やキャプチャー画像などを常に横に置いて、比較検討しながら慎重に進めました。
なお、88ミリ主砲もこの段階で組み付けますが、私の制作においては、諸々の改造や追加工作が終わってから取り付けることにしました。
劇中のワンシーンを拡大した図です。車体前面の溶接痕の合わせ目の線がほぼ等間隔に並びますが、キットの車体パーツではそうなっていません。
また、前部フェンダーの内側が斜めに切れています。実車では可動のフラップが取り付けてあるのですが、これが劇中車では外されているのです。タミヤのキットではフラップも含めて一体成型になっているため、カットする必要があります。
修正前の前部フェンダー内側の状態です。フラップも含めて一体成型になっており、フラップのヒンジ部がモールドされています。このヒンジ部から斜めにカットすることになります。
カットするためのラインを鉛筆でトレースしました。ちょうど前部傾斜装甲板に対して90度の角度になりました。劇中車でもそうなっています。
カットした状態です。この後、サンドペーパーで軽くヤスって整形し、反対側のフェンダーにも同じ工作を施しました。
続いて、車体前面の溶接痕の合わせ目の修正に移りました。劇中車では組み合わせの線がほぼ等間隔に並びますが、キットの車体パーツでは御覧の通りです。これは実車通りの特徴ですが、劇中車と異なる以上、見過ごすわけにはいきませんでした。
なにしろ、車体前面という目立つ部分にありますから、ここを手直しするかしないかでガルパン仕様の再現度が大きく変わります。
御覧のように薄いプラ板を貼り、組み合わせの線がほぼ等間隔になるようにしました。
パテでプラ板の線を埋めて消しました。なんとか組み合わせの線をほぼ等間隔に変更出来ました。
車体上面においては、D34のパーツにて改造が必要です。劇中車ではD34のパーツの部分が形状も位置も異なります。
劇中車では、御覧のようにD34のパーツに相当する円形の蓋の下に楕円形状の蓋があり、さらにD34の穴が開口してペリスコープが左に指向しています。
D34は、実際にはSマイン(対人地雷)の投射機ですが、ガルパンの戦車道では対人兵器は必要ありませんので、これを設定ではペリスコープに変更したのでしょう。
D34のパーツの穴を開口し、その下に楕円形状の蓋をプラ板で自作し、これも開口しました。ジャンクから調達したカニ眼鏡のパーツも用意しました。このカニ眼鏡の片方だけをカットして、ペリスコープに利用することにしました。
車体上面での位置も、元の指示位置より2ミリほど後方にズレますので、劇中車の画像をみながら貼り付けました。その後、開口部に合わせて車体パーツにも穴を開けました。
カニ眼鏡の片方部分をカットしたものを内側から取り付けました。これで劇中車と同じペリスコープの状態が再現出来ました。
今回の改造のヤマ場となる、後部エンジンフード上の組み立てに取り掛かりました。まず四ヶ所のフックA25のうち、前方の2個は、位置が後ろにズレます。劇中車の状態に合わせて接着位置をずらしました。
片方、左側のフックはプラ板で少し大きめのフックを仮自作して、仮付けしています。後で取り付けるワイヤーがガルパン仕様の独自の回し方になるので、その端のフックをキットのパーツC26からカットして作ってみたところ、サイズが大きすぎてフックA25に付けられないので、これに合うフックを試みに作ったのでした。ですが、後でワイヤーを自作したので、大きめの仮フックも不要となり、元のA25に戻しています。
フックA25のうち、取り付け位置をずらした前方の2個の、元の取り付け穴をパテで埋めました。
また、車体上部の取り付けパーツのうちのD7については、周囲の枠のモールドを削り取り、指定位置に仮付けしたままにしておきました。劇中車では取り付け位置もパーツの向きも異なるので、後でそれに合わせて修正することにしました。
続いて後部の二種類の吸排気グリルの改造に取り掛かります。公式設定資料の図では御覧のような形状ですが、タミヤキットのパーツはパンターG型のそれと共通なので、グリルの形状もパンターG型のそれになっています。ですが、劇中車のグリルはヤークトティーガーのそれによく似た形状です。
前方左右の、小さい方のグリルE2です。形状も違いますが、そのままはめこむとグリル部分がエンジンフード面よりも低くなります。劇中車ではエンジンフード面と同じ高さにあるので、形状とともに高さも修正する必要があります。
まず、真ん中の部分をカットして縦線を劇中車と同じ二本にしました。厳密には位置も少しずらす必要がありますが、そこまでやると汚くなりそうなので止めておきました。
それから両端の突起部を丁寧に削り取り、これをパーツの底面に移して接着しました。これでパーツの高さが変わりました。
そのまま指定位置にはめこみました。エンジンフード面と同じ高さにおさまりました。
後ろ方左右の、大きい方のグリルE8、E9です。こちらは形状もサイズも全然異なりますので、パーツそのものが使えません。
そこで、プラ板で自作しました。寸法を測り鉛筆で下書きして、上図のような感じに描写しました。これをカッターで切り絵のように細かくカットして抜き出しました。今回の制作において最も苦労した作業でした。
自作したグリルを指定位置にはめ込みました。事前にE8、E9を枠部分だけに改造しておいたのを入れておき、高さがエンジンフード面と同じになるように調整しました。
毎度の事ながら、雑な仕上がりです。細かい切り抜き作業でしたので、誤って切りかけた箇所も少なくなく、後でヤスリがけを何度か施して形を整えるだけで精一杯でした。
しかし、後でサーフェイサーを吹き付けて塗装も終えたところ、雑な仕上がり感がソフトにおさまって目立たなくなりました。
パーツA19には、ヒンジや留め金具のモールドがありませんので、パンターG型を作った時と同じようにプラ板を細かくカットしたものをそれらしく配置して再現しました。 (続く)