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この日は、まず大貫地区の南端にある「潮騒の湯」へと移動することにしました。何度も立ち寄っているにもかかわらず、温泉に入る機会も食事をするチャンスにも恵まれなかったので、今回こそは、という意気込みで向かいました。が、大洗町内を走るバスの本数は少なく、待つよりも歩いたほうが早いです。
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歩き回ってみて改めて分かったのですが、景色が広く感じられるだけでなく、細かな点にも気が付くことが多いです。昨年秋にガルパン巡礼を始めてからは、毎月エノキザワのレンタサイクルを利用してスピード重視で回っていましたが、今年4月の訪問時より徒歩に切り替えてからは、大洗町の風景の見え方が色々と新鮮でした。
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各店舗にあるキャラクターパネルにも、ゆっくりと近づいてゆっくりと見て通り過ぎますので、それだけ余韻が感じられます。それにしても角谷杏のパネル、ずっと外に向けて立ててあるせいか、やや黄色っぽく褪せた感じになっています。初めて見た頃はピカピカとは言わないまでも、真っ白感があった気がします。
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冷泉麻子バージョンのOVA記念幟がはためく街角の景色です。アニメの幟が町じゅうに立てられ、それが各時期、数種類にもわたっているところは、日本中広しといえども、ここ大洗町だけだと思います。
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曲がり松商店街の「鳥孝」に立ち寄って店の方と少し雑談をしました。毎月訪れているので、多くのお店の方が私を覚えていてくれているようです。最近にガルパン仕様の八九式中戦車甲型を作りました、と話したら、「それウチに譲って貰えないかな?飾っておきたいな」と冗談を言われました。
大洗町にある多くの寄贈品キットがほとんどガルパン仕様でないことは、最近では大洗町の皆さんも知っておられるようでした。「鳥孝」にも八九式中戦車甲型のキットが寄贈されていますが、素組みのままでした。
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スーパーの「エコス」前のバス停に向かう途中で「多満留屋」の御主人らしき方に声を掛けられ、少し雑談をしました。私が被っている帽子を「大洗のマークついてる帽子っていいねえ」と何度も言うので、「これは曲がり松の「みとや」で作ってもらったものですよ」と応じました。「えっ、そうなの、じゃあ儂も今度行って作ってもらおうか」と笑っておられました。
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「多満留屋」付近からの景色です。手前左のいかにも昭和初期ふうの店舗の姿と、右奥の平成のスーパーの外観とが好対照をなしています。歴史が積み重なった町の景観というのは、本来はこういう状態で静かに時を刻むのですが、それを景観統一という偏った発想にて同時期の建物や外観ばかりにまとめてしまおうとする風潮があります。
歴史的景観地区だとか、歴史的美化空間を謳っているところほど、新旧の建物が混在する本物の歴史的な景色を故意に破壊してしまっている傾向が強いのは残念なことです。
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「エコス」前のバス停にて待つこと3分、大洗町内巡回バスの「海遊号」がやってきました。こちらはほぼ時間通りに運行されているので、前日の茨城交通バスの大きな遅延とは違って楽に利用出来ます。
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「海遊号」は一回乗ると100円、フリーパスだと200円なので、効果的に使えば一番安い交通手段です。レンタサイクルの500円が高く感じられますが、私が利用したエノキザワのそれは、日をまたいでの連続レンタルが可能だったため、宿まで乗って行き、翌朝は宿からスタート出来て移動の手間を大幅に省けるという利点がありました。そのうえ、ガルパン公式缶バッジが一日に1個つくので、たとえば二日連続で借りれば2個が貰えました。それを考えると、私としてはエノキザワのレンタサイクル料金500円は、とても良心的ではないかと思います。同じ500円でも、大洗駅やリゾートアウトレットや曲がり松のレンタサイクルは利用が一日のみに限られ、夕方までに必ず返却しないといけないので、私のような宿泊滞在型の巡礼者には不向きでありました。
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バス停「前原」で降りました。大貫地区の一番南に位置する、「潮騒の湯」の最寄のバス停です。同じ場所に、茨城交通バスの「前原山」バス停があります。
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この辺りにも松林が広がっています。江戸期には松林の深さにちなんだ夜の恐怖譚が語られたそうなので、現在よりももっと広く、深く、鬱蒼とした松林であったのだろうと想像されます。現在は海岸線の移動と周囲の宅地化によって、細長い帯のような感じになっていますが、「指定防風林」の標識があるので、これ以上小さくなるということはまず無さそうです。
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バス停から歩いて5分足らずで「潮騒の湯」に着きました。午前中のうちに入ったので、比較的空いていて、温泉にもゆっくりと浸かって楽しむことが出来ました。やっと大洗町屈指の温泉に入れたわけです。施設そのものはスーパー銭湯の構造に近いですが、食事処のスペースが比較的広く造られているのが特徴です。
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これが食事処のスペースです。湯上り後に少し休憩し、時計をみたらちょうど12時前だったので、昼食にしました。今回は温泉と食事に黒森峰エコトートバッグ付きの「ほかほかセット」3000円を利用したのですが、黒森峰エコトートバッグを単品で買うと1500円なので、温泉と食事だけで1500円分になることが分かります。人によっては「高い」と感じるようですが、この種の施設の入浴料が1000円前後であるので、食事の方は500円程度になります。これは「安い」と思います。
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これが「ほかほかセット」についている食事の「大桶刺身盛定食」です。本当に大桶に盛られているのでびっくりしましたが、汁椀の大きさにも驚かされました。これが大洗の食事の標準的なボリュームなのでしょうか・・・。
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大桶に並べられた刺身は、どれも新鮮で旨いものでした。これだけでもう充分だったのですが、大きな汁椀の漁師汁もまた格別な味でした。これだけの食事が500円前後相当というのは、さすがに大洗ならばでの価格帯でしょう。 (続く)
確かに機動力は上りますが、それゆえに見落としていたものが沢山あったように感じます。
三回目に歩いてみたのですが、同じ道上に別の発見があり楽しいものでした。
潮騒の湯は自分もまだ行ったことが無いので、次回の旅の参考になりました。
ゆっくら館よりも広そうな印象ですね。
潮騒の湯、施設のスペースは広いですが、客層も広いので来客数も多くて団体客も少なくありません。海岸に近いのでサーファーや海水浴客の利用も多いと聞きます。
これに対して、ゆっくら館は地元住民の公衆浴場といった感があり、施設の面積こそ小さいものの、くつろぎ空間は広くとってあります。食事処のメニューも豊富なので、ゆったりと過ごして食事も楽しむなら、ゆっくら館の方がいいのではないかなと思います。アウトレットや商店街や巡礼コースにも近いのも利点ですね。