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「露の若者に国外脱出熱 世論調査で移住希望4割」(2月10日、産経新聞)
「国外脱出したい。」と考えるロシア人の若者が急増している事が、露独立系世論調査機関「レバダ・センター」の調査で判った。長引く経済低迷や政権によるインターネット統制を若年層が嫌っている為だと見られ、一部メディアは国の将来を危惧している。
レバダ・センターは移住意識に関する世論調査を昨年12月に行い、此の程、結果を公表した。其れによると、「他国の永住権を得て、移住したいと思うか?」という問いに、18~24歳の回答者の41%が「思う。」と答えた。前年調査の32%から9ポイント増加した。
他の年齢層も含めた全体で見ると、「移住したいと思わない。」の回答が1990年の調査開始以来で最高の82%を記録。全体的には移住願望が低下している中で、若い世代の国外脱出熱が突出している。
ロシアでは昨年迄の5年連続で国民の実質所得が減少する等、経済の不振が長期化している。国営部門の肥大化といった経済の構造問題に、米欧の対露制裁や石油価格の下落が重なった為だ。政権がネット統制や通信監視を強化している事も、若者の閉塞感を強めたと考えられている。
露経済紙「ベドモスチ」は、「移住を望む若者の増加は頭脳流出を招き、将来的にロシアの発展を阻害する可能性が在る。」と分析。実際に永続的な外国移住をしたロシア人も、2011年の約1万4千人から2018年の約5万1千人に増えていると指摘した。
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「『自国から逃げ出したい。』と考える若者が多ければ多い程、其の国の先行きは暗い。」と思う。「ロシアは、最も懐疑的な目を向けなければいけない国。」と思っている自分にとって、今回の世論調査結果は「然も在りなん。」という感じ。
今回の記事で「意外。」と感じた事も在る。ウラジーミル・プーチン大統領による独裁政治が進み、プーチン大統領に少しでも歯向かう者は次々と“抹殺”されるロシアに在って、今回の様な“政権に不利益な世論調査結果”が公表されるというのは、非常に意外だったのだ。
でも、今回の記事を書くに当たって色々調べてみると、ロシア国内の状況は少しづつ変わって来ている様だ。「政権にとって不都合な存在。」として3年前には閉鎖の危機に瀕していたレバダ・センターだが、プーチン大統領への不満が高まって行く中で、力を盛り返しているとか。
3年前、レバダ・センターが行った世論調査で、「ソ連崩壊は残念な事だった。」とするロシア国民が56%も存在したと言う。「強固な独裁体制により、個人の自由がガチガチに縛られていソ連時代。」を高く評価している人が、そんなにも存在していた事は驚きだが、経済が低迷しているからこそ、“寄らば大樹の陰”的な思いが強くなるのかも。
「ソ連の復活!」を目指している様なプーチン大統領に対し、ロシアの若者達が幻滅を感じているのだとしたら、非常に興味深い事だと思う。