ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

泥臭い役者

2021年03月18日 | 其の他

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先日と或る邦画の作品を観させて戴いたのだが、映画全盛の頃の役者と今の役者との違いを痛感した。

簡単に言ってしまうと、泥臭い役者が消滅したという事なのかも知れない。

例え話になってしまうが、深作欣二監督の「仁義なき戦い」を今撮ろうとしても、彼の頃の血腥さ息遣い等は滲み出て来ないんだろうなと。

判り易い所で言うと、今の役者さんって皆格好良いですからね。

三枚目キャラの方も居りますが、飽く迄もキャラ止まりと言いますか、バランスが取れている。

然も揃って芝居が巧い。と言うか皆器用なんですよ。

因みに役者に対して芝居が巧いとか器用と言うのは褒め言葉で在って褒め言葉では無いという、そこそこスレスレの表現かと思われます。

中略

川谷拓三さんや金子信雄さん、室田日出男さんや小池朝雄さんの様な役者は、もう中々出て来ないんでしょうね。成田三樹夫さんも強烈だったもんな~。
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俳優坂上忍さんは週刊新潮コラム連載しておられるが、上記したのは3月4日号分から抜粋した物で在る。自分も似た様な事を感じていたので、今回取り上げさせて貰った。

昔に比べると、今の俳優概して芝居が巧い気がする。特に子役はそうで、昔の子役と言えば、信じられない位演技が下手糞なのが結構存在した。文字で表すと伝わり難いだろうが、「エーンエーン、御兄ちゃんに怒られちゃったの~。」と、思いっ切り棒読みで泣く演技の子役なんて、珍しく無かったし。今は、そんな子役を見る事は無い。

演技経験が全く無い様なぽっと出の若手でも、そこそこ見られる演技をする今。名前を挙げてしまって申し訳無いけれど、新人の頃からずっと“棒演技”の東出昌大氏なんて、非常に珍しい存在だと思う。(新人時代、東出氏よりも“棒演技”を見せていた工藤阿須加氏ですら、場数を踏んだ事で、何とか見られる演技になったし。)

でも、演技が巧いからと言って、心に残る演技に直結するという訳でも無い。笠智衆氏なんて、演技で言えば非常に下手糞なだったけれど、味わい深さが在り、今でも彼の演技は印象に残っている。“演技力の高い俳優”と“印象深い俳優”というのは、必ずしも一致しないのだ。

又、坂上氏が指摘する「泥臭い役者が略消滅した。」というのは、自分も感じていた。彼が挙げた俳優の他にも、蟹江敬三氏や谷村昌彦氏なんかは実に泥臭い俳優で、今も彼等の演技は忘れられない。(柄本明氏は、泥臭さを感じる数少ない俳優の1人だと思う。)時代の違いというのは間違い無く在るだろうし、そういう俳優を多くが求めていないというのも在るのだろうが、個人的には泥臭い俳優が少なくなったのは残念だ。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2021-03-18 20:57:06
こんばんは
子役と言えば、デビュー作「警察日記」や、三船敏郎の「赤ひげ」での二木てるみさんは名子役でした。
私と同年代なんですよねえ。
泥臭いかどうかはともかく、森繁久彌さんや伊藤雄之助さんなんかも、味わいのある演技が好きでした。
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>悠々遊様 (giants-55)
2021-03-19 01:16:13
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

二木てるみさんは存じ上げておりますが、世代的に子役時代は知りませんでした。

森繫久彌氏及び伊藤雄之助氏は、自分も好きな俳優です。

先日、映画「砂の器(リマスター版)が放送されておりました。原作は読んだ事が在るのですが、1974年に初公開された映画を見るのは初めてだったのですが、主役の丹波哲郎氏を始めとして、加藤剛や佐分利信氏、緒形拳氏、加藤嘉氏、笠智衆氏等々、味わい深い演技をされる俳優が次々に登場し、至福の時間を過ごしました。稲葉義男氏や渥美清氏がチョイ役で出演しているのですから、本当に贅沢な作品ですね。
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