今オフ、FA宣言していた選手で、ジャイアンツが獲得を目論んでいたのは、美馬学投手(ゴールデンイーグルス)と鈴木大地選手(マリーンズ)の2人だった。然し、両選手からジャイアンツに対し断りの連絡が在り、美馬投手はマリーンズへの、そして鈴木選手はゴールデンイーグルスへの移籍が決まったと言う。
9月の記事「FA制度導入から26年」で書いた様に、「日本球界に『FA制度』が導入された1993年から昨年迄の26年間で、FA権を行使した“延べ人数”は『121人』(工藤公康氏、小笠原道大氏、相川亮二氏、鶴岡一成氏の4人が、其れ其れ2回行使。)で、国内球団への移籍は『90人』、海外球団への移籍は『31人』。そして、FA権を行使して移籍したチーム先はジャイアンツへの『26人』が断トツの1位。(2位はホークスの『13人』。)」となっていた。詰まり、単純計算で言えば、ジャイアンツは毎年1人はFA宣言した選手を獲得して来た事になる。
そんなジャイアンツが獲得を目論んでいた2選手に“振られ”、「2012年以来7年振りに、FA補強無し。」という事になりそうだ。
又、今季大活躍を見せ、優勝の立役者の1人だった山口俊投手が、ポスティング・システムによるメジャー・リーグ移籍に挑む事が、昨日発表された。ジャイアンツではポスティング・システムによる移籍を認めて来なかったが、3年前に山口投手がFA権を行使し、ジャイアンツに移籍した際、「契約条項の1つとして、ポスティングを認めるという契約が入っていた。」との事で、ジャイアンツとしても認めざるを得なかったのだろう。
今季のジャイアンツ投手陣に在って、「15勝4敗」とチーム一番の勝ち星を上げた山口投手。エース・菅野智之投手は1年を通して不安定で、来季の“復活”が何とも言えない状態。山口投手の穴を埋められそうな投手がチーム内には見当たらず、来季のジャイアンツは投打共に苦しいと思う。
日本シリーズでジャイアンツが大惨敗したのを受けて、先月「大惨敗を受けて、ジャイアンツがしなければならない事」という記事を書いた。簡単に言ってしまえば、「ジャイアンツの首脳陣やフロントを抜本的に改革し、長期的なスパンで当たる必要が在る。」という指摘をしたのだが、以後のジャイアンツからはそういう動きが全く見えず、「セ・リーグも、DH制度を導入すべきだ。」という原辰徳監督の発言に到っては、「セ・リーグもDH制度を導入しさえすれば、ジャイアンツも強くなれる。」という短絡的思考が感じられ、ジャイアンツ・ファンの1人として「仏作って魂入れずだな。」とがっかりした。
そんな中、「FA補強の大失敗&ポスティング・システムによる主力投手の流出」というのは、ジャイアンツにとって異常事態と言え様。
でも、良く考えてみれば、「FA補強をしない、又は、最低限しかしない。」とか、「ポスティング・システムによる主力選手の流出。」なんていうのは、他のチームでは珍しい事では無い。カープなんて「FAで9人もの選手が流出しているのに、FAでの獲得は全く無いし、ポスティング・システムでは4人も移籍されている。」し。だから、ジャイアンツにとっては“異常事態”でも、他のチームにしてみれば異常でも何でも無い事なのだ。
昨日、ジャイアンツの大塚淳弘球団副代表兼編成担当は「今オフのFA補強終了。」を明言した上で、「基本的には、ドラフト戦略で発掘育成。どうしても其処で補強しなくちゃいけない所を、FAとかで遣らないといけないと思っている。カープはずっと、育てた選手を使っているじゃないですか。彼が、常勝の基本だと思う。内もシフトして。我慢して(選手を)使えば、僕は伸びると思っています。」と語ったそうだ。こんなのは当たり前の事で在り、以前から自分も何度か指摘して来た。是非、実行して欲しい。