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依頼者達に代わって謝る事で、彼等が抱える多種多様なトラブルを解決するという、「東京謝罪センター所長」の黒島譲(阿部サダヲ氏)。ヤクザの車と追突事故を起こし、法外な賠償金の支払いを迫られていた帰国子女・倉持典子(井上真央さん)は、彼に助けられたのが切っ掛けで、センターのアシスタントとなる。
2人は、セクハラで訴えられ、窮地に陥った下着メーカー社員の沼田卓也 (岡田将生氏)、或るあるエキストラの起用で外交問題を起こしてしまった映画プロデューサー・和田耕作(荒川良々氏)等、様々な顧客に降り掛かる問題を、謝罪で解決して行く。
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根が捻くれ者なので、「高視聴率を稼いでいる番組だから、見たら?」と言われると、「流行りに乗っかるのも嫌だなあ。」と思い、見ない事が少なく無い。ブームが去ってから見る事は在るのだけれど、「流行っているから。」という理由だけで、皆と“同じ流れ”に乗るのが好きじゃないのだ。
だからドラマ「あまちゃん」【動画】も全く見なかったが、「宮藤官九郎氏が脚本を担当しているのだから、面白い内容なんだろうなあ。」とは思っていた。「池袋ウエストゲートパーク」【動画】や「木更津キャッツアイ」【動画】、「タイガー&ドラゴン」【動画】等、宮藤氏が脚本を担当したドラマを過去に幾つか見たが、何れも面白かったので。今回、映画「謝罪の王様」を観る事にしたのも、彼が脚本を担当していたからだ。
組織内で不祥事が起こると、御偉いさんが会見に登場し、「申し訳在りませんでした。」と深々と謝罪するのが、我が国では当たり前の光景となった。やれ「頭を垂れる角度が小さい。」だ、やれ「頭を垂れている時間が短い。」だと、難癖を付けるのが生き甲斐も少なく無い様で、最近は“マニュアル通り”といった謝罪スタイルが目に付く。
「困ったら、取り敢えず土下座をすれば良い。」のは日本の文化、否、正確に言えば「日本の政治文化」として定着した感が在る。政治家になったら傲慢無礼さを剥き出しにし、人を人とも思わない様な言動をする癖に、選挙の時だけは態とらしく“土下座攻撃”を繰り広げる某女性議員なんぞは、醜悪以外の何物でも無い。
そんな日本独特の謝罪スタイルを、痛烈に皮肉った作品が「謝罪の王様」。主役の阿部サダヲ氏を始めとして、荒川良々氏(9年前に観た映画「SURVIVE STYLE 5+」で初めて彼の事を知り、以降は非常に気になる役者の1人となっている。)や六角精児氏、高橋克実氏、小野武彦氏等、個性的な俳優達が笑いを増幅させている。
「同じシーンが、後から“別角度”で登場する。」というのが幾つか在り、其の度に「さっきのシーンは、そういう意味合いだったのか!」と気付かされる等、演出の上手さを感じた。
今回の記事のタイトル「ワキゲボーボー、ジユウノメガミッ!」は、此の作品の中で何度も口にされるフレーズ。「どういったシチュエーションで、又、どういう意味で使われるのか?」は秘密にしておくが、余りにも馬鹿馬鹿しくて笑えてしまう。見終わった後、何度も何度も此のフレーズが頭の中でリフレインした程。「まさか彼の人が、ああいった動作で、此のフレーズを口にするとは思わなかった。」というのだけを記しておく。
「全体的に、もう少し短く纏められたかなあ。」という感じは在る。ストーリーの中程、そして“本編”が終わった後に、やや冗長さを感じたので。
総合評価は、星3つ。
ドラマ「半沢直樹」は見ない儘に終わってしまったのですが、小説は全て読んでおり、読後には爽快感を覚えています。
不条理な事柄許りの浮世に在って、ああいう勧善懲悪な展開は、本当にスッキリさせられる。視聴率が高かったのも、如何に不条理さに耐えている市井の人々が多いかという事の証左でしょうね。
ドラマ「あまちゃん」で使われていたという「じぇじぇじぇ」という言葉、バラエティー番組等では耳にする事が少なく無かったけれど、日常で耳にする事は殆ど無かった。でも、「半沢直樹」の「倍返しだ!」は、近所のガキンチョが良く口にしている等、「流行語になったなあ。」と感じます。