“鴛鴦夫婦”として知られた渡辺徹氏と榊原郁恵さん。渡辺徹氏の方だったと記憶しているが、「結婚して以降、或る時期迄、ずっと共演は避けていたんです。」と語っていた。其の理由に付いては失念してしまったが、「プライヴェートでは夫婦なのだから、敢えて共演するのは気恥ずかしい。」という思いが在ったのではなかろうか。又、「私生活のみならず、仕事の場でも一緒となると、何か減り張りが付かない。」という思いが在ったのかも。
“近しい人間との共演”と言えば、俳優の瀬戸康史氏が以前語っていた話が忘れられない。今年で35歳の彼だが、9年前の映画「昼も夜も」で実妹の瀬戸さおりさんと共演した事が在るのだとか。で、2人の役柄は“恋人”という事で、御互いに可成り嫌だった様。「見た目は似ていない。」とはいえ、実の兄妹で恋人役というのは、確かに嫌だ。
で、何でこんな記事を書いたかと言えば、先日放送された或るラジオ番組に御笑いコンビ「ピンクの電話」の竹内都子さんが出演していて、思わず吹き出してしまった話をしていたからだ。
彼女は相方の清水よし子さんと共に、「劇団七曜日」という劇団の第1期生。又、御主人の菅原大吉氏も、同じく第1期生だったと。“みやちゃん”と菅原氏は、ピンクの電話が結成される前から付き合っており、10年以上の同棲生活を経て結婚。同棲期間を含めると、約40年も“夫婦として”暮らして来たと言って良いだろう。
プライヴェートで夫婦の2人、仕事でも夫婦役を演じる事が在り、菅原氏は「其れって、どうなんだろう?」と複雑な思いが在った時期も。で、或る日、知り合いの或る歌舞伎俳優に“悩み”を打ち明けた所、彼は笑ってこう言ったそうだ。
「大ちゃん、何を言ってるんだよ。(女形役の在る歌舞伎の世界に属している)俺なんかは、(実の)親父相手にしょっちゅうラヴ・シーン演じてるんだぜ。」。
仕事とはいえ、実の父親と息子がラヴ・シーンを演じるというのは、実の兄妹以上に嫌だろう。