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「高齢受刑者1割超 再犯率高く服役長期化」(11月13日付け東京新聞【夕刊】)
2014年に刑務所に入った2万1,866人の内、65歳以上の高齢者は2,283人で、統計を取り始めた1991年以降初めて1割を超えた事が、13日に公表された2015年版犯罪白書で判った。高齢者は再犯率が高く、出所後に住居や仕事が無い為、犯罪を繰り返して服役期間が長期化する等、刑務所が「福祉施設」化している事が改めて裏付けられた形だ。
犯罪白書によると1991年に入所した高齢者は274人で全体の1.3%。其の後、略毎年増加している。2014年の男女別の高齢者率は男性が9.8%に対し、女性は16.4%と高かった。女性は2009年以降、1割以上で推移している。
全体の入所者数は2006年の3万3,032人をピークに、8年連続で減少している。
政府は刑務所を出てから2年以内に再入所する人の割合を、2021年迄に16%以下にする数値目標を掲げている。近年は低下傾向に在り、2013年は18.1%だったが、高齢者の場合は24.9%で、29歳以下の11.5%と大きな開きが在った。
一方、2014年に交通事故を除く一般刑法犯で検挙された人の内、再犯者は前年比4,257人減の11万8,381人で、8年連続減少。初犯者も10年連続で減った。
初犯者の減少幅の方が大きかった為、検挙人数に占める再犯者の割合を示す再犯者率は18年連続で増加し、過去最高の47.1%となった。
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“万引きGメン”が、万引き犯を取り押さえる。そんな場面をニュース番組等で、定期的に放送されている。そういった番組で近年、良く指摘されているのは、高齢者の万引き犯が急増しているという事。
“超高齢社会”となった我が国では、貧しさから万引きに手を染める高齢者が増加しているのだろうけれど、「2014年に刑務所に入った者の内、高齢者の数が初めて1割を超えた。」というのも、超高齢社会の一面と言って良いだろう。
「どういう理由が在っても、犯罪に手を染めるのは許されない事。」というのは言う迄も無いが、刑務所が福祉施設化とならざるを得ない現実を、私利私欲の充足に汲々としている為政者達は、重く捉えなければいけない。
犯罪などの、抜きん出た行為というのは、社会に原因がると思います。これだけ、福祉や生活保護などのセーフティネットが充実した日本で、再犯するというのは、貧困を別にした、社会からの排他的な圧力があるからだと思います。
福祉とか、貧困ビジネスとも言いますが、福祉産業や作業所などの、ハンディを持つ企業であっても、排除はあるし、苛めもあります。だけど、前科者を雇用の一環として、企業がまかなう事が出来れば、その中で小さな社会が出来ると思います。ダイバーシティとか、異文化との共存が叫ばれていますが、同質を求めるのは、少数者だからこそ、であって、今のグローバリズムとかに、多数者のエゴが見えないわけでもありません。
“社会からの排他的な圧力”、其れは非常に感じますね。明々白々に違法行為をした人間が、罰せられたり非難されたりするのは当然の事ですが、「本の一部の人間の悪事を持ち出して、然も其れが其の人物が属している組織全てが悪事に手を染めているかの様に取り上げて、其の組織を叩く。」なんていうのは、単に自身のストレス発散に過ぎないし、概してそういうのは弱い者虐め。
ホリエモンの主張なんかは象徴的だと思うのですが、昨今の日本は「白か黒かを明確に分けないと、絶対に許さない!」って感じの風潮が強い。ホリエモンの主張に評価出来る面も在るけれど、余りにも極端に白黒を付けたがる姿勢が垣間見れるから、どうしても全部を評価出来ない。こういった風潮も、或る意味“エゴ”が根底に在るのではないかと。
為政者がいくら「道徳」を持ち出しても、これじゃとても「美しい国」とはいえないなあ。
日本は「おもてなし」の国とアピールしているようですが、「表無し=裏社会」かと勘繰りたくもなる・・・笑顔の裏に隠した悪意が透けて見える・・・国にしたくないんだけれど。
「自身の罪を、他者や何かの所為にする。」というのはどうかと思うけれど、国民の代表たる政治家達が、多くがおかしいと思っている事を、真面に説明する事無く、強引に押し通したり、違法行為としか思えない事を見苦しい言い訳で誤魔化し、法の番人達がそんな彼等を擁護する様な判決を下している状況では、「真面に生きるのが馬鹿らしい。」と思う人間が増えるのも判らないでは無い。
「道徳」を声高に叫んでいる連中が、率先して非道徳的な事を行っているというのは、もう笑い話としか思えませんね。