自身の公私混同疑惑に付いて先週、舛添要一都知事は“予想通り”、見苦しい言い訳に終始していた。昔から彼の俗骨を知り尽くしていた自分としては「矢張りな。」と思う一方、「(家族を同伴しての宿泊を政治資金で処理していた事は言い逃れ出来ないので、)家族は確かに一緒に宿泊していたけれど、其の部屋に事務所関係者を呼んで間違い無く会議は行った。だから、会議費としたのはおかしくない。関係者の人数や名前は、政治的な機微に関わる事なので言えない。」等と、幼稚園児でも言わないレヴェルの言い訳をしていた事は、本当に情けない限り。
先週の釈明会見を受け、「釈明に納得出来たか?」というアンケートが幾つかされていた。何れも98%以上が「納得出来ない。」という答えだったが、自分は98%という高さよりも、あんな在り得ないレヴェルの言い訳を、2%もの人が「納得出来た。」と答えた方が驚き。「疑わしきは罰せず」とは言え、誰がどう考えても彼の言い訳を信じるのは無理が在る。(会議費でリゾート地に宿泊しているのが、夏休みや正月三が日許りだなんて、どう考えてもおかしい。)平然と正当性を主張する彼は、奥さんは別にして、自身の子供達に恥ずかしくないのだろうか?
先週の釈明会見以降、新たな公私混同疑惑が次々に表面化。何れもがみみっちさを感じる話許りで、益々彼の俗骨が浮き彫りになる。政治資金を使い、インターネット・オークションで美術品を買い漁っていた件なんぞは、どう考えても“自身の物”にする為の行為だろう。疚しさが全く無いので在れば、見苦しい言い訳を繰り返すのでは無く、(此方をちょこちょこ覗いて下さっている)村長様が指摘されている様に「其れ等の美術品が“現在”、何処に在るのかを公表すれば良い。」だけの事で在る。
そして昨日、舛添都知事は2度目の釈明会見に臨んだ。各TV局は其の模様を生中継。会見が始まった際、或るコメンテーターは「舛添都知事が神妙な面持ちで在る事。」と「最初から疑惑の釈明に付いて話し出した前回とは異なり、今回は都政に関する報告から始まった事。」を挙げた上で、「此れは、辞任表明になるかもしれませんね。」と発言したが、思わず吹き出してしまった。と言うのも、「権力に異常な迄の執着を見せる舛添氏は、最後の最後迄権力にしがみ付く。100%逃げ道が封じられない限り、自ら『辞める。』なんて言う訳が無い。」と思っているからだ。
案の定、「都知事として仕事をして行く。」と往生際の悪さを見せた舛添都知事。更に酷いのは、記者達の質問に対して真面に答える事無く、「弁護士等、政治資金規制法に詳しい第三者の専門家に調査をして貰う。厳しい第三者の目で、出費の精査をして貰う。」を繰り返した事。どんな質問に対しても、馬鹿の一つ覚えの様に繰り返し、2時間強に及ぶ会見の中で“厳しい第三者の目”というフレーズが使われたのは、50回近かったそうだ。其の姿からは誠実さなんて欠片程も感じられず、「時間稼ぎをして、少しでも都知事の座にしがみ付きたい。」という往生際の悪さしか感じられなかった。
遠からず、舛添都知事は辞任に追い込まれる事になろうが*1、今回の件で幾つかの問題点が明らかとなった。中でも大きな問題点を、2つ挙げてみる。
1つは、政治資金規正法に付いて。以前より「政治資金規正法は、典型的な笊法。」との指摘が在ったが、今回改めて其れを痛感させられた。舛添都知事に持ち上がった公私混同疑惑の数々、普通の会社で同じ事を行えば、解雇されるどころか、刑罰が処せられるレヴェルの事許り。でも、専門家に言わせれば、「何れも“グレー・ゾーン”では在っても、違法とは言い難い。道義的な面では、大いに問題が在るけれど。」という事らしい。
「政治資金をどんな形で使おうと、余程の事が無い限り、政治家が処罰される事は無い。」という感じすらする。こういう好い加減さを結果的に許してしまっているのは、我々国民で在り、一人一人がもっと真剣に考えないと駄目だろう。
そしてもう1つは、舛添都知事だけを叩けば済む話では無いという事。悪質さや金額面で言えば、石原慎太郎都知事の公私混同振りは、舛添都知事を上回る事は在っても、下回る事は無かったと思う。でも、多くの国民は舛添都知事に対する程大きくは騒がなかったし、更に言えば、舛添都知事よりも悪質な公私混同をしている政治家は、他にも大勢居ると思う。
「グレー・ゾーン”では在っても、違法とは言い難い。道義的な面では、大いに問題が在るけれど。」という点で言えば、安倍晋三首相の“相続税脱税疑惑”なんぞは、金額面(約3億円)を考えても、道義的に悪質と言わざるを得ない。(事実で無いならば、証拠を挙げた上で「事実では無い。」と説明すれば良いだけの事。何故か安倍首相は、此の件に対して聞かれると打ち切れたり、話を掏り替えたりするのだ。)舛添都知事を叩くならば、他に同じ様な事をしている政治家も、同様に叩かないといけないだろう。
*1 こんなにも俗骨な人間だと、仮に公私混同を疑われた分を返金したとしても、以降、より悪質な形で取り戻す事だろう。又、こんなにも平然と“嘘”が言えるのだから、都知事を続けても、平然と嘘を言い続けるに違い無い。