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「韓国大統領が『非常戒厳』を宣布 官僚の弾劾訴追で『行政府が麻痺』」(12月3日、朝日新聞)
韓国の尹錫悦大統領は3日夜、国民に向けた緊急談話を出し、「自由憲政秩序を守る為に、非常戒厳を宣布する。」と述べた。尹政権発足以来、多数の政府官僚の弾劾訴追が発議される等し、行政府が麻痺している事等が理由だとしている。此れを受け、戒厳司令官が一切の政治活動等を禁じる布告令を出した。国民生活が、大きく制限される恐れが在る。
2022年に発足した尹政権は、支持率が20%前後に低迷。4月の総選挙での与党大敗で、国会も野党が過半数を占め、国政運営が儘ならない状況に追い込まれており、野党を力で抑え込んで、自らの権力を守る非常手段に出たと見られる。
弾劾は、最大野党の「共に民主党」等が中心に成って推進している。尹氏は談話で、政権発足後に22件の政府官僚弾劾訴追案が発議され、「此れは世界の何の国にも例が無いだけで無く、建国以後に全く前例が無い状況。」と批判した。
更に、予算に付いても「共に民主党」が政争の手段として利用しているとし、国家機関を乱す事で内乱を画策する明らかな反国家行為だと主張。「国会が、自由民主主義体制を崩壊させる怪物に成った。」とした。
其の上で、北朝鮮の共産勢力の脅威から韓国を守り、自由憲政秩序を守る為に「非常戒厳を宣布する。」と述べた。
戒厳司令官が出した布告令では、集会やデモ等を含む政治活動が禁止される他、世論操作等を禁止し、全てのメディアと出版が統制を受けるとしている。「善良な一般市民は、日常生活の不便を最小化出来る様措置する。」としているが、影響は必至だ。
韓国では1961年に起きた軍事クーデターの際に戒厳令が宣布され、其の後も80年代前半迄度々出された。1980年5月には、戒厳令下で軍政に抗議した市民が多数犠牲になる「光州事件」も起きた。
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戒厳令とは、「『戦時や自然災害、暴動等の緊急事態に於て、兵力を以て、国内外の一地域、或いは全国を警備する場合に、憲法・法律の一部の効力を停止し、行政権・司法権の一部乃至は全部を、軍隊の指揮下に移行する事。』を規定した法令。」で在る。
「日本の"現行法"には、戒厳に関する規定や戒厳令に相当する法令は存在しない。」けれど、嘗ては戒厳令が存在していた。戒厳令に基づく戒厳は2度(共に「臨戦地境戒厳」)在ったそうだが、其れ等よりも「『戒厳令』で規定された戒厳の他の、東京周辺にて緊急勅令に基づく、所謂『行政戒厳』。」の方が有名だろう。「日比谷焼打事件発生時(1905年9月6日~同年11月29日)」、「関東大震災発生時(1923年9月2日~同年11月15日)」、そして「二・二六事件発生時(1936年2月27日~同年7月16日)」の3回がそうだ。
で、韓国で戒厳令が布告されたのは今回を含めて「9回」で、最初は「1948年10月21日~1949年2月5日」だそうだ。最初の戒厳令布告から今回迄に「約76年」が経っているので、「1回/約8.4年」のペースで戒厳令が布告されている事に成る。「2016年に発覚した崔順実ゲート事件当時、国会によって弾劾訴追された朴槿恵大統領の罷免を憲法裁判所が認めず、反発した国民が暴徒と化した"場合"、陸軍が戒厳令を布告し、デモを鎮圧する"計画"を国軍機務司令部が策定していた事実が明らかになっている。」ので、此の際に実際に布告されていたならば、戒厳令布告はトータルで「10回」に成る訳だが、兎にも角にも「韓国=戒厳令布告が多い国」というイメージが自分には在る。
大統領夫人・金建希さんの相次ぐスキャンダルも在り、尹政権の支持率は20%前後に低迷しており、大統領任期「5年」の"折り返し地点"を過ぎた時点で"政権崩壊"の危機を迎えている。二進も三進も行かなくなった事から今回、尹大統領は戒厳令布告という"自爆テロ"に打って出たのだろう。
「日本を"仮想敵"とし、其の日本を叩き捲る事で、韓国政府に対する国民の不満を"瓦斯抜き"し、政権支持率のアップに繋げる。」という"反日政策"をずっと十八番にして来た韓国。そんな不毛な手法も、尹大統領の就任で取り止められ、日韓友好ムードが高まって来ていただけに、「尹大統領の失脚→反日政策の復活」と成らない事を祈る許りだ。
・・・と、此処迄の記事は、今回の戒厳令布告が報じられた直後に書き上げ、今日のアップに備えていた。だが、布告から約6時間後、伊大統領は戒厳令の解除を宣言。4日未明に急遽開かれた国会(定数300)で、参加した190人の全議員が「戒厳令の解除要求決議案」に賛成&可決したのを受けての事だった。
戒厳令という異常な事態が早急に取り消されたのは良かったが、此れで伊大統領の求心力がドンと下がり、同政権がレイム・ダック状態に陥るのは必定。来年、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に返り咲く事も在り、国際情勢は益々昏迷を深めて行く事だろう。