自身の誕生日を受け、記者会見に臨んだ秋篠宮文仁親王が、来年11月に行われる宮中祭祀「大嘗祭」の支出に関し、自身の考えを明らかにした。
今上天皇は来年4月30日に退位し、皇太子徳仁親王が5月1日に新天皇に即位する。大嘗祭は「天皇が即位の礼の後、初めて行う新嘗祭。」で在り、28年前に行われた「平成大嘗祭」では、大規模な大嘗宮の建設も在り、総額で25億6千万円が支出された。
即位関連儀式は「内閣の助言と承認に基づく国事行為」と「宗教色の在る私的な皇室行事」に大別される。大嘗祭を含む一連の宮中祭祀は皇室行事では在るが、政府は「重要な伝統的皇位継承儀式で在り、公的性格が認められる。」として、平成大嘗祭の経費25億6千万円は、公的支出の為の費用で在る宮廷費から支出された。来年の大嘗祭に関する費用も、同様に宮廷費から支出される方針だ。
「宗教色の在る私的な皇室行事の支出に公費を充てるのは、憲法が定める『政教分離の原則』に反するのではないか?」という声は以前から在るが、今回、秋篠宮文仁親王は「『宗教行事と憲法との関係はどうなのか?』という時に、矢張り内廷会計(内廷費)で行うべきだと思います。」と、大嘗祭に公費を充てる事に異議を唱えた。
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[私的支出の為の費用]
・内廷費(3億2,400万円) - 天皇家、皇太子家の生活費、宮中祭祀等に充てる。
・皇族費(3億6,400万円) - 宮家の皇族が品位を保持する為に使用。
[公的支出の為の費用]
・宮廷費(92億円) - 地方訪問、外国賓客の接遇等の活動に使用。
・宮内庁費(115億円) - 宮内庁職員の人件費や事務経費。
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来年の大嘗祭が平成大嘗祭と同規模で行われるならば、内廷費(3億2,400万円)だけでは賄い切れないが、其の事に付いて秋篠宮文仁親王は「大嘗祭自体は、私は絶対にすべき物だと思います。唯、出来る範囲で身の丈に合った儀式で行うのが、本来の姿ではないかなと思います。」と語った上で、此の考えを宮内庁長官に伝えた所、「話を聞く耳を持たなかった。非常に残念な事だった。」と明らかにした。
当ブログを古くから読んで下さっている方なら御判りの事と思うが、自分は“皇室”という物が好きでは無い。“皇室や皇族を異常な迄に持ち上げる風潮”が不気味でならず、延いては「皇室に対していい感情が持てない。」というのが、正確な所だ。けれど、今回の秋篠宮文仁親王の発言には、強い共感を覚える。政教分離の原則が済し崩し化されつつ在る中、「良く言った!」という思いが。
憲法では、天皇の国政関与を禁じている。だから、今上天皇が仮に秋篠宮文仁親王と同じ様な考えを持っているとしても、明らかにする事は不可能だろう。でも、皇族の国政関与を禁ずる明文規定が憲法には無い事から、秋篠宮文仁親王としてはギリギリの発言をした物と思われる。“皇室の政治利用”が著しい安倍晋三首相への反発という面も在ったろうけれど。
このニュースを聞いたとき同じ思いを持ちました。
発言に影響力の大きい天皇家の人たちが、政治色の強い発言をすればどういう結果を招くか、それを危惧して皇族の発言を制限している意図も、十分承知の上の吐露だったのでしょうね。
新聞、テレビなどマスコミの論調も、今回の秋篠宮の発言に対し、概して批判的な内容が見られるのは、そういった危惧があるからでしょう。
ただ、それでは戦後長期にわたる保守政権がこれまで国民総意のもとに政治をしてきたかと言えば、そうとは言い切れない。
国論を二分するような問題で政権自らがそれををないがしろにしてきた例は数々ありますが、その政権は投票率と与党の得票率を見れば、国民の総意とは言い難いのは明らかです。
単に選挙制度のからくりで多数の議席を獲得しているに過ぎない与党が好き勝手をしているのも、同様に厳しく批判すべきだと思いますね。
特に右翼シンパのマスコミには強くそう思います。
自身の発言による影響が如何程か、其れを十分に理解した上での秋篠宮文仁親王の今回の発言だったと思います。其れが皇族の本意なのかどうかは別にして、皇族を異常に持ち上げる様な報道を垂れ流しているマスメディアが、政府の意向に沿わない発言をすると、手の平を返した様に批判する。「何だかなあ。」という思いがします。
法律を拡大解釈し、恣意的に政府として好ましい方向に物事を推し進めている昨今。「大嘗祭を、公費で執り行うのが適切なのか否か?」を幅広く議論し、相応しくないので在れば改めるという事は、とても意義の在る事だと思います。