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28年前、八百長疑惑を掛けられて、自ら命を絶った伝説の左腕投手K・M。四半世紀後、行方不明になっていた1,500奪三振の記念ボールが発見されたのを切っ掛けに、彼を再評価する動きが広まる。
作家の芹沢真一郎(せりざわ しんいちろう)は、K・Mの伝記を書くべく関係者達の下を取材して回るが、彼に纏わるまつわるエピソードには幾つもの謎が在った。誤審に抗議した相手チームの監督は何故、急に引き下がったのか?K・Mと同室だった男は何故、異変を無視したのか?そして、八百長疑惑の真相は?
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第14回(2015年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で優秀賞を受賞した小説「たまらなくグッドバイ」(著者:大津光央氏)は、「八百長疑惑を掛けられて自殺した元プロ野球選手に付いて、彼を知る関係者を取材し、真相に辿り着く。」というストーリーで、34歳の“あたし”なる人物が纏めた伝記形式で記されている。序章と終章は“あたし”の独り語り、そして残る5つの章は其れ其れ異なる人物の視点から描かれている。“異なる人物の視点”というのが結果的には大きな意味合いを持たせてはいるのだけれど、読む側としては「此の人は誰なんだろ?」という戸惑いが生じ、読み難さを感じた。
古くからのプロ野球ファンだと、「此の球団は、恐らく〇〇をモデルにしているんだろうな。」とか「此の選手は、XX選手をモデルにしているんじゃないかな?」等、色々想像を馳せる事だろう。
で、肝心のストーリーだが、自分には“楽屋落ち”の様な感じがした。「八百長疑惑や其れに関連した自殺疑惑を取り上げておいて、こんな落ちなの?」というガッカリ感が否めない。ネット上では、高く評価する人が多い様だけれど・・・。
総合評価は、星2つとする。