去年5月、「JR東日本の駅構内から消えて行っている物」という記事を書いた。「JR東日本が管轄する鉄道の駅構内から、時計が次々と撤去されている。」そうで、其の理由に付いて同社広報部は「スマホ等の普及により、多くの御客様が御自身で時間を確認する手段を御持ちで在る事、保守メンテナンスの負担軽減等を総合的に勘案して、“一部の駅構内”の時計の設置を見直す事にしました。」としていた。
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「駅ホーム 消え行く時刻表 ~コスト等理由 撤去広がる~」(5月6日付け東京新聞[朝刊])
鉄道の駅のホームから、時刻表が姿を消しつつ在る。西武鉄道では、管内で3駅を残すだけとなった。今春、鉄道各社の多くが運賃を引き上げただけに、本紙「ニュースあなた発」には、読者から「運賃を値上げして、サーヴィスを下げるのか。」との不満の声が寄せられている。
東京都練馬区に住む女性(60歳)は1年前、自宅近くの西武池袋線石神井公園駅のホームで異変に気付いた。昨日迄時刻表が掲示されていた案内看板に、観光ポスターが貼られていたのだ。「電光掲示板は、直近の列車しか判らない。時刻表なら、一目でぱっと判るのに・・・。」。
西武鉄道の広報担当者は本紙の取材に、「スマートフォンの普及で、時刻表のニーズが少なくなり、固定費削減の観点から、撤去を決めた。」と説明する。
西武鉄道によると、ホームの時刻表は2022年春に一部の駅で試行的に撤去し、現在は91駅の内、西所沢駅等、3駅にしか残ってない。広報担当者は、「改札付近に時刻表を掲示しており、窓口では紙の時刻表を渡している。」と強調するものの、「『再設置して欲しい。』との声も一部に在る。」と、利用者に不満が在る事を認める。
西武鉄道に先立ち、時刻表の撤去や削減を進めて来たのがJR東日本だ。2019年に南武線の複数の駅でホームから撤去すると、沿線の東京都稲城市で市会議員等が問題視。市もJR東日本に訴えたが、再設置には到っていない。
ホームから撤去するのは、設置を義務付ける国の規定に違反しないのか。国土交通省は、「掲示の場所や方法に具体的な規定は無く、ホームでは無くても、改札付近に掲示したり、電光表示で案内したりしていれば問題無い。」との見解だ。
今春、鉄道各社が相次いで運賃を値上げした。ホーム・ドア等、バリアフリー設備の充実を値上げの理由に挙げているが、新型コロナウイルス禍での乗客減による収益の悪化が背景に在る。時刻表の撤去も、コロナ禍と無関係では無い。
然し、冒頭の女性は疑問を投げ掛ける。「スマホを使えない人も居る。鉄道会社はバリアフリーを進めると言い乍ら、時刻表撤去によって新たなバリアーを生んでいる。私達利用客を軽視していませんか。」。
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駅構内からの時計の撤去に関しては、「スマホを持っていなくても、代わりに腕時計等を付けている人も少なからず居るだろうから、まあ仕方無いのかなあ。」という思いが在った。でも、構内からの時刻表の撤去に関しては、一寸事情が違うと思う。
「構内からは撤去したけれど、改札付近に時刻表を掲示しているし、窓口では紙の時刻表を渡している。」と関係者は強調しているが、「駅構内で急に、確認する必要が出て来る。」という事だって在るし、「スマホで確認すれば済む。」と言われても、所有していない人だって居る。又、何よりも家の母親の様に、「スマホは所有しているけれど、使う機能は通話とメールだけで、其の他のアプリは使えない。」という人だって居るだろう。駅構内からの時計の撤去と同一に考えてしまうのは、どうかと思うのだが・・・。
時計はあれば便利です。私もスマホを持ってますが、時刻を知るには、ポケットからだしてボタンを一度押さなければなりません。構内に時計があれば視線を上にむけるだけでいいのです。どっちがいいか判ると思いますが。
関東と関西とでは、状況が異なるんですね。自分は腕時計を付けない人間(若い頃は付けていましたが、「締め付けられる感じが苦手。」、「汗っかきなので、ベルトとの間に汗が付いて不快。」等の理由で、付けなくなりました。)なので、基本的にはスマホで時間を確認します。でも、街中に時計が在れば、其れは其れで便利。構内も同様ですね。
コスト削減は理解出来るし、「時代の移り変わりで、消えて行ってしまう物が在る。」というのも止むを得ないとは思いますが、構内の時計や時刻表は残して欲しい。テクノロジーには概して疎い高齢者が置き去りになってしまう様な事は、在ってはならないと思います。